KARATE3

二人の夏休み6



 竜斗は自分のマンションの前に立ってはじめて鍵と携帯を取り上げられたことを思い出した。 仕方ないので、とぼとぼと雄斗のマンションに向う。雄斗がお金を使わずに戻るとしたら雄斗のマンションだからだ。 部屋に入るかどうしようか迷っていると、突如ドアが開いて中から雄斗が出てくる。

 「森のくまさんみたいにうろうろしないで入ってこいよ」

 「見ていたなら早く入れてくれよ。人が悪いぞ」

 「リュウがここに来ると思わなかったな。俺だってここに来るの迷ったのに」

 「どうやって鍵を開けんだい?」

 「管理人室に行って貰った。預けたままになっていたから。でもたまった管理費払えって言われちゃったぜ」

 久しぶりに入った雄斗のマンションは、殆どモノが処分されてがらんとしている。

 「今朝はごめん」

 竜斗は思わず項垂れて謝る。

 「いいんだ。お前が困るのを解っていて聞いた俺の方が悪かったよ。リュウに乱暴されたからちょっと拗ねただけだったんだけどな。見合いの話はある程度メドがついてからちゃんと俺に 話そうと思っていたんだろ?」

 ユウが優しい瞳で竜斗を見上げながら頬杖をついている。

 「ここに来たって言う事はマンションの鍵も携帯も取り上げられたのか?」

 「改まった場所に連れて行くから着替えろって言われて……」

 ユウは瞳を閉じて首を振る。

 「全く、何度やられても簡単に引っ掛かる奴だよ、お前って……」

 いちいちもっともなので竜斗は反論出来ずに俯いたままだ。

 「じゃあ、財布もないわけね?」

 それが一番困ったことかもしれない。なにしろ七夕の時に雄斗の分も預かっているから 二人ともお金がないということになる。

 「金ならないわけじゃない。他にも通帳があるんだ。それにこういう事もあろうかと給料用の口座のカードは持ってるしね」

 つくづく抜け目ない雄斗である。というより竜斗が世間知らずなだけかもしれない。 毛布を学校からちゃっかり借りて来ている雄斗とは雲泥の差といえるだろう。

 「とにかく夕御飯は外で食べよう。お前のマンションの合鍵は持ってるけど戻るのは今日じゃない方がいい」

 「あの、見合いの話は断ったから……」

 「ばっかじゃないの?お前」

 「え?」

 「お前が見合いを断るのは当たり前なの。問題は後はどうその事後処理をするかだろ? 何か考えがあるのか?」

 「いや、まだ……」

 「じゃあ、俺にまかせてくれる?竜は安心して夏休みの計画でも立てておけ」

 はたしてユウにまかせていいものか、多少不安な竜斗だったが、自分より対外的な事に関しては雄斗の方がしっかりしてると改めて認識させられた気がする。今回はユウにまかせてみようと 決心した。

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