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二人の夏休み5 |
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竜斗は父と不毛な会話を迫られていた。何と言って良いか解らずに置いて来た 雄斗が心配で仕方ない。お金もないのに今、何をやってるのか? まさか、誰かに食事を奢らせたりして部屋に付いて行ってないよな? それなのに、父との会話は先程から同じところをぐるぐる廻っている。 「とにかく取引銀行の頭取のお孫さんなんだ。お前をどこでみたのか 気に入ってるというのだから、会ってみるくらいいいだろう」 「結婚する気もないのに会う事自体不謹慎ではありませんか?僕の恋人に対しても 不誠実だし」 「だからその恋人とやらに会わせろといってるだろう?」 「何度もいってるように、僕らはまだ若い。結婚の話しも出ていません。 やっとその関係が固まりつつあるんです。できればそっとしておいて欲しい」 「お前はその辺の平社員とは違うんだ。結婚には責任も生じてくる。誰とでも結婚していいわけじゃないんだ」 「じゃあお父さんは、僕のお母さんだった人とそういう利益を伴って結婚した訳ですか?」 「そんな事はいってない、今はそんな話をしてないだろう。話を摺り替えるな」 「お父さんにとっては、どうであれ、僕の人生にとっては誰をパートナーに選ぶかというのが 最も大切な事だ。それが目的でそれ以外は手段でしかない」 「親子の縁を切ろうと言うのか?」 「どうして、そうやって飛躍するんですか?とりあえず帰ります」 「俺の言う事がきけないのか?」 「今のお父さんと冷静に話し合えそうにないからです」 「親子の縁を切れば、仕事もやめマンションもでるということだぞ」 「そういう脅しには屈しない覚悟は出来てるつもりです。お父さんが本気なら他に仕事を捜しますよ」 「結婚しろと言ってる訳でもないのに、この頑固者が!!!」 「お父さんに似たんでしょう」 そういうともう我慢も限界にきて、家を飛び出した。 しかし携帯は父親に取り上げられたままだ。もし、このまま、電源をつけて雄斗の事を調べられたら お互いに不味い事になりそうだった。 今の父は冷静さを逸してる。ユウが公務員という固い仕事についているのを知れば 何をするか解らないと不安になった。 |