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二人の夏休み4 |
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まるで待っていたかのように光田は携帯に出た。 「ユウ、珍しいじゃない?そっちから携帯にくれるなんてさ」 「そこに竜斗いる?携帯の電源が入って無いみたいで」 「あれ?羽鷲先輩なら今日休んでるじゃないか。あ、もしかして喧嘩?」 ユウは本気でがっかりした。意を決して光田に連絡取ってこれじゃあ救われない。 「何かあったの?ね、ちょっと教えてよ」 ブチッ雄斗は思いきり通話を切る。光田なんかにからかいネタを提供してやるほど 暇ではない。まさか何かトラブルに巻き込まれているのでは?雄斗は本気で心配しだした。 考えてみればマンションではない竜斗の実家の住所も電話も知らなかった。 そういえば……ふと思い出すのは前に竜斗の親友神崎の電話番号を書き留めておいたはず、そう思って少しだけ躊躇したが神崎に電話をかけた。前に喧嘩して竜斗がこの男の家に泊まった事があり それ以来、こっそりと神崎の携帯をメモしてあったのだ。 「あの、神崎さんですか?私は羽鷲君の友人で羽生と申します。はじめまして。 羽鷲君と実は急遽連絡を取りたいのですが、携帯の電源をいれ忘れてるみたいでマンションにも 職場にも居ないものですから……時々泊まりに行くお友だちの電話番号として そちらさまの番号を伺っていたもので……」 雄斗は馴れない丁寧語に舌を噛みそうだった。 「こんにちは、そういえば、付き合ってる人がいるのに親に見合いを勧められて困っていたみたいだからなぁ。親の家にでも拉致られてるんじゃないの?ね、君さ、ユウの恋人の事知らない? 惚気る割に俺には会わせてくれないし、名前もおしえてくれないんだよな」 「僕も知らないです」 「そうか、じゃあ」 携帯が切れてからも雄斗は耳まで真っ赤になっていた。嬉しかった。神崎に自分の事を恋人として話してくれた事や見合いを断ろうとしてくれた事も。 今は竜斗を信じて待とうと思った。 そのころ、竜斗は神崎の予想道理実家に引き止められて、説得されていた。 もう、何度も父親と話し合った問題だったはずだが、お互いに譲れないので 話はどこまでいっても平行線なのである。 |