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二人の夏休み13 |
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「好きだ……」 欲望で自分の声が上擦るのがわかる。『落ち着け、俺!』竜斗は心の中で己を鼓舞する。 「当たり前だろ」 だが落ち着いてるのは寧ろ、雄斗だ。 「自信があるんだな」 『俺は、ユウにベタ惚れだもんな』 竜斗はため息をつく。そんな竜斗をみつめるユウの瞳は優しい、そして綺麗だった。 「リュウはないのか?」 「ないよ」 「俺の方がいっぱい好きだっていってるじゃないか」 「ユウの場合、他の奴にも言っていそうだからな」 竜斗は冷たく流し目をした。しかしユウはケロッとしたものである。 「言ってないよ」 「本当?一度も?」 「当たり前だろ、女にも言ってない」 「海野さんは?それに佐野は?」 「何を勘違いしてるのかしらないけど、違うよ。……本当はリュウにも言いたくなかったけど」 そこで雄斗の顔は少しだけ曇ってゆく。 「俺ってこんな面だろ?二人とも関係はあったけど強姦まがいだった。中3と高1の時だったかな。 俺ってその頃まだ幼かったから、自慰も碌に経験なくってさ……まさによごれちまった悲しみに……って感じだよ。その後の男関係なんて思い出したくもない」 「ごめん、思い出したくない事まで言わせて……。もう、こんなバカな事はきかないよ」 竜斗は真っ青になっていた。嫉妬したとはいえ、そして知らなかったとはいえ、なんて無神経な事を聞いてしまったのか。 「いいんだ、いつか言わなくちゃいけないと思っていたし、 竜斗にはこの話を言えそうな気がしてたから。 それにさ、そんな経験もリュウに出会う為のレッスンってやつかな」 「は?」 「俺が空手を始めたきっかけも、もうこれ以上男の好き放題にさせるか、 俺も男だ、やられたらやりかえしてやる。そんな気持ちから始めたんだ」 そうだったのか、何度も似合わないとか、らしくないとか言った気がする竜斗は申し訳なくて 無言でますます頭を低く垂れてゆく。 「でも、お前と会って、始めて男を抱きたいって思った。お前が可愛いって思った。 そんなに男っぽくあるべきだと思っていた自分のトラウマからも竜に出会ったせいで 逃れる事が出来たと思う。 いま、空手は俺にとって護身術じゃなくて、純粋に好きだからやってるし、それに……」 雄斗はにやりと笑った。竜斗の背筋に寒いモノが走ってゆく。こういう笑い方をした時の ユウは何を考えているのか解らないのだ。 「そ、それに?」 「可愛い男を抱くのも悪くない」 「可愛い男って……」 聞かない方がいいと理性では警告するが、ついつい口から零れてしまう。 「お前に決まってるだろ。だから、前ほど他人に可愛いだの綺麗だのと言われても むかつかなくなった」 「もし、俺が言ったら?」 「身体で返事してやるぜ。どっちが可愛いのか」 にやりと笑う雄斗を竜は心底怖いと思った。あぁ、こんなはずじゃなかったのに。 いったいどこで計画が狂っちまったんだろう? |