琴線を打ち鳴らせ 7

雄斗サイド



俺が携帯の電源を落とした後に誰かから携帯に留守電が入っていた。
予想どうりやっぱり竜斗からだった。用件が、俺に会いたいじゃなくてK1のチケットが欲しい?ふざけた野郎だ。
しかしながらなんとタイミングが悪い事に俺は空手部のOBが出場するからとチケットを10枚も売るように 空手部の先輩に頼まれていたのだ。
しかもK1のチケットだ。まさか、竜斗はそんな事知ってる訳無いよな
女の子はあまりK1なんて興味ないし、日頃、撒き餌として俺を利用してる近藤に売ろうとしたら
「無料ならもらう」だって
普段はさんざん、俺を利用してるのに全然たよりにならない。
俺って人にモノを頼むのが大嫌いなんだよ。
しかも殆ど友人がいないから、こういう時すごく困るんだ。
仕方なく竜斗に電話した。
「留守電聞いた。何枚いる?」
「雄斗か?2枚でいいんだけど、どうして?」
2枚だってありがたいけど、なんか面白く無い。いったい誰といくんだろう。
「他に買ってくれる人を知らないか?」
なんか面白く無くて俺の声は必要以上にぶっきらぼうになっていた。
「ノルマがあるんだね?何枚売らなくちゃいけないんだい?残ってる分を友達に聞いてあげるよ」
親切そうな竜斗の声、なにか、嫌な予感がする。
でもこれを売らないと自腹で払う5万円はやっぱり痛い。でもそんなこと竜斗にいいたくない。
「もしよかったら、これから会えないかな?」
・・・・やっぱり。こういう予想ってなぜか当るんだよな。
会っても碌に話すことなんてないんだよな。多分やるだけか?
っていうことは、たった、5万円分のチケットで俺は買われちゃうのかも。
それってなんか凄く嫌だな。
竜斗は待ち合わせた喫茶店ですました顔で長い足を組み涼しげに微笑んでいた。
アルカイックスマイルっていうやつだ。
俺はちょっとドキッとした。男相手にドキッとしてもしかたないけど、 コンパの夜をどうしても思いだして意識してしまう。

「バイト代が入ったから何でも好きなもの食べていいよ」
竜斗はそういいながらチケット代の5万円の入った封筒を渡してきた。
『別にお前に奢られる筋合いなんてない』
いつもの俺ならそういうところだが今日は何も言えなかった。
俺が中身を確認してると、竜はチケットをひらひらさせる。
「雄斗もこの試合にいくの?」
「うん、まあ」
「チケット持ってるんだろ?」
「多分先輩がくれると思う」
「先輩と行くのか?」
俺がだれと行くのかお前に関係ないだろ・・・俺は竜斗を睨み付けた。
「よかったら、一緒に行かないか?」
「なんでお前と行かなくちゃいけねぇんだよ」
「女の子は格闘技なんてあまり喜ばないし、俺が全部さばいてやったんじゃないか。それぐらい付き合ったっていいだろ?」
竜斗の声が下半身に甘く響き、俺は断れなかった。
いくら俺でも10枚もさばいてもらっておいて『はい、さよなら』はできない
結局、俺は竜斗と二人だけでいくことになった。
「まだ、ゆっくりしていけるだろ?夕御飯でも一緒に食べないか?」
当然のように、試合が終わってから竜斗は俺をホテルへ誘う。
竜斗が慣れた様子でなにげに腰に手を回し、シティホテルにエスコートする。
そうか、こいつの実家は金持ちだった。
安いラブホテルなんか使わないのか?
俺の身体は竜斗を欲しがっていたが、女扱いされてるようで素直な気持ちになれない。
ロビーで様々な人たちの視線が竜斗に向っていた。
俺は男子高だったから綺麗な顔だちの男はいっぱい知っているけど、ホストのような悪目立ちするタイプは こいつが初めてだ。
女達がちらちらとこちらの様子を伺っている。
チェックインする間、周りの視線が気になってどうも落ち着かなかった。


next  top