< strike a chord
琴線を打ち鳴らせ 5

雄斗サイド



携帯番号を聞かれたのはまずかった。
このまますっきり別れられないものかな。
暫く、男とやってなかったから忘れかけていたけど、結構きもちよかった。
女の方がいいと思っていたのに、このまま、なし崩しに男とやる生活に戻りたくない。
でも、竜はいままでやったどの男より優しかった。
自分の快感より俺の快感を紡ぐのを優先させてくれる
そうだ、こうして女みたいな気持ちになるのが嫌なんだ。だから女を抱く方がいいと思っていた。

本当は俺の方が相手を気持ちよくさせたいのに。
そう思って最近女ばかりとやっていたけど、正直いって最近マグロな女相手に腰を振るのにも そろそろ飽きて来た。
恋人気取りで干渉してくる女もうざいくなってきたところなんだ。
あれから、ちょうど一週間たつけど、竜の奴何もいってこない。
やっぱり普通の男なら、女の方がいいよな。
女に不足してる訳でもなさそうだし、男も初めてみたいだった。
雰囲気で流されて携帯の番号を聞いたけど、あんなのベットの中の睦言だ。
....なんか、俺って竜の電話を待ってないか?
いやだいやだ、今日は先に先約を作ってしまおう。

実は俺は通称『まきえの王子様』と友人達から呼ばれている。
俺がコンパに参加すると女の出席率が高くなるからだそうだ。
でも、撒き餌の俺がいつもでもいると女達が他の男に靡かないから、俺はいつも早々に退散している。
「ユウ、この前は助かったぜ」
近藤が声をかけて来た。
「ユウがあのホストみたいなすかした面した奴を外に出してくれたから、まさに入れ食い状態でさ」
そんな話は聞きたくない。
「あの後、あいつとどこにいったの?」
そんな事もいちいちこいつに話してやる必要はない。
「別に.....」
最悪な事に今一番会いたくない智子が向こうからやってくるのがみえる。
コンパの女王を自称する男好きな女だ。
俺も一度だけ智子とやった事があるけど、他の奴とくらべられてるようで楽しくなかった。
「ユウ、この前の美形の彼とどこにいったの?」
「うるさいな、小学校時代の同期なんだよ。ちょっと懐かしかったから」
あながち嘘ではないが、本当の事をいうと竜は俺の事を完全に忘れていた訳で、ちょっと悔しい。
「じゃあ、名前とか電話とか知ってる?教えてよ」
「いやだ。」
「ケチ〜、あ、ユウってばもしかして嫉妬?」
冷静に考えると『智子に対して嫉妬してる?』と智子は言いたかったに違いない。
でも俺は完全に勘違いして焦った。
「嫉妬なんか誰がするか、バカ」
俺は叫んでかけだした。
「可愛い〜」
後ろから智子の声が追ってくる。
女なんか大嫌いだ。無神経でイライラする。
俺は、かかってこない携帯を何度も確かめる自分が嫌だった。
どうせかかってくるのは、近藤や、智子達だ。
羽鷲の電話を待っているわけじゃない。
でも、やっぱり待っている?
かかってくる訳もない男からの電話なんか待ちたくない。
俺は待ってない。
俺は強く唇を噛んでから、携帯の電源を落とした。


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