琴線を打ち鳴らせ

雄斗サイド



間違いない、あいつだ........。
俺はそう確信した。そうと決まれば今日のターゲットはアイツに決まりだ。 だけどアイツは俺を憶えているだろうか。
もう、8年くらいあっていないはずだから。

その男は羽鷲竜斗といった。たしかに自分と良く似た名前だから忘れにくい。 だが、それ以上におれには羽鷲を忘れられない理由があった。
羽鷲は本気で俺を女と間違えた最後の男だったからだ。
いくら俺が女顔だって小学生高学年になるまで女と間違えるか?普通....。
俺が落としたリコーダーをおぼっちゃま然とした気取ったアイツに 拾って渡された。
それもわざわざ俺のリコーダーをハンカチで御丁寧に拭きやがった上に にっこりと笑いやがったのだ。
どうみてもそれは女に対する気障な男の仕種で。
俺はフェミニストや気障な男が大嫌いだ。蹴飛ばしてやりたいが 俺は女じゃないから関係ないと信じていたのだ。
それを....。
俺はあの時、気絶するかと思ったぐらいショックを受けた。
あの屈辱絶対忘れられない。
勿論、アイツは多分憶えていないだろう。
だけど今日こそお前の思い出したくない『思い出の日』にしてやろうじゃないか。 俺はほくそ笑みながら、アイツの隣に偶然を装って陣取った。
正直いって俺は大学の合コンなんて全く興味がない。
この俺様に限って言えば街を歩いていて気に入った女の子をゲット出来なかったなんて経験は殆ど無いからだ。 彼氏と歩いてる女だって、場合によってはその日の内にベットイン。
そんな俺がなぜ合コンに参加したのかといえば、ひとえに大学の悪友達に拝み倒されるからだ。
『撒き餌』
悪友達は俺をそう呼ぶ。
女顔の俺は女達にとって人畜無害に思えるのだろう。
ちょっと誘えばついてくる尻の軽い、ついでに頭も軽い短大生や専門学生に俺は殆ど興味もなかった。 でも、今日は別。絶対落としたい男がいる。
しかしながら、いくら節操なしとはいっても、男は男と解れば本気で男と寝ようなんて奴はそう多くはない。 女なら8割は超える俺様のゲット率も男に限ると2割に満たない。
俺だってできれば、むさ苦しい男なんかに興味はなかった。
でも、羽鷲は特別だ。顔も身体もどうやら、ピカイチの部類に入る。
俺の食指がめちゃくちゃ動く.......。
そう、奴は間違いなく俺のタイプだった。


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