魔鏡の輪廻4


 

 何を聞いてもショックで呆然としてる俺は、ユーリーがベッドまで持ってきた豪華な夕食が終わると全くする事がない。

 ユーリーに変な事をされるのもイヤなので暇つぶしにユーリーを呼ぶことも出来ない。

 仕方なくリョウガに読んでおけと言われた膨大な量の本に目を通していた。言う事を聞くと思われるのは癪だが、話す相手もなく、テレビも携帯もパソコンも何もなくて、暇を持て余してるのだからこの際贅沢はいえない。そんな本に夢中になっていた夜更けふと人の気配に本から瞳をあげるとそこにはリョウガが立ってじっとこちらを見ていた。

 「まだ、起きていたのか?」

 今までの傲慢ともいえるリョウガの物言いと違いがなんとなく僕を戸惑わせる。

 「ん……この本が面白かったから……」

 「何を読んでいる?」

 それはこの国の伝説にもなっている創世記の王の話だった。俺の頬に軽く触れた彼の手がそのまま顎の辺りに置かれた指先に力がこもったかと思うと顔を上げられキスをされていた。

 男同士という嫌悪感で思わず顔を背ける。

 「逆らうな」

 そういうと手にしていた本を振払って背中にまわされた手に気をとられている間に押し倒されていた。

 「嫌だ……放せよ」

 「カムイ……逆らうな。お前はもう私のものだ」

 「俺は俺のものだ。誰のものでもない」

 そういってリョウガを睨み付けた。

 「カムイは感情が表に出ないタイプだと思っていたが……記憶を失ってからのお前はなかなか、からかいがいがあるな」

 そういって嬉しそうに俺の顎を掴んで上にあげる。またキスされるのかと思わずぎっちりと目を閉じた。

 顎はがっちりと掴まれ身動きできないがいつまでも唇が降りてこないので 不振に思ってゆっくりと瞼を開けた。

 リョウガの顔が驚く程間近にありじっと俺の顔を見つめるように覗き込んでいた。

 「な、んだよ……」

 俺の声が震えている。

 圧倒的な力強さときつい瞳の前に情けないが 失禁しそうだった。

 「そんなに私が怖いか?」

 「怖いわけない!」

 本当はすごく怖かった。叫んだ声が擦れていたからリョウガにもばればれだろう。

 「その割に声が震えているようだが」

 「む、武者震いに決まってるじゃないか!」

 素直に抱かれた方が逃げやすいとユーリーはいったがそんな言葉でこの恐怖感を納得させられるわけなどなかった。

 「はじめての時ですらいやだいやだといいながら、もっと素直に身体を開いたではないか?キスしたくらいでなぜ、そんなに震えているのだ?」

 「震えてないっていってるじゃないか……そ、それにき、キスなんて知らない……何も覚えていない」

 俺は大きく首を振る。

 いやだ、いやだ!絶対に嫌だ!

 こんな男の好き放題されるなんて冗談じゃない。

 そう思うと恐怖がさらに大きくなって自分でも訳の解らない激情が押し寄せ、目頭が熱くなる。

 悔しい!

 こんなところで泣くもんか。

 強く唇を噛むと顎を捕えていたリョウガの指が宥めるように何度も俺の唇の上を行き来した。

 妖しく光っていたリョウガの瞳がなぜか戸惑うような慈愛のこもった瞳に変化している。

 「怖くないのだろう?力を抜きなさい……」

 そのまま触るか触らないかの優しさで何度も彼の指先が俺の唇を愛撫する。

 「泣かせるつもりじゃなかったのだ……」

 まるで幼子に言い聞かせるような優しい物言いがさらに俺を惨めにさせる。

 「泣いてない……」

 「今までのストイックなカムイも愛らしかったが、今のお前はさらに愛おしい」

 彼の大きな掌が何度も頭を優しく撫でる。

 優しくされる事で俺の心はさらに弱くなったような気がした。

 乱暴にされるよりさらにダメージが深い。

 彼の手の中で20才はとうに超えた大の大人のこの俺が震えてる小さなハムスターになってしまったような情けない感覚だった。

 「怖がる事はしないから、私の言う通りにできるな?」

 そう言いながら彼の大きな掌はいつの間にか俺の脇に差し込まれ後ろから包まれるように優しく包み込む。

 優しくするな……優しくされるとさらに俺は弱くなってしまう。

 彼の親指がそっと俺の乳首を捕えてくいっくいっと刺激する。

 「あ……ぁあっ……」

 「お前はここが感じるのだよ……思い出させてやろう……」

 初めての感覚のはずなのに声を抑えられない程俺は悶えてしまう。

 気がつくと俺の息子は少しずつ鎌首を擡げていた。

 「ほら、気持ちいいんじゃないか……」

 そういうリョウガのオスも俺の後ろに熱く固く当たっている。 

 「お前が怖がるなら、今日は挿れないでおいてやろう。お前の可愛くて締まったこの二つの膨らみの間でも充分気持ち良さそうだからな」

 すでに彼の先走りで濡れたもので後ろも優しく刺激され不覚にも俺もあっという間に彼の大きな右手の中に俺の欲望を迸らせてしまっていたのだ。

 彼は恥ずかしさのあまり蹲る俺の身体にそっと肌掛けを掛けると音もなくそっと部屋を出ていった。

 俺は抵抗なんかできなかったのに、なぜ彼は最後までやることなく許してくれたんだろう?俺はさっぱり解らなかった。

 

 


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