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願いごとのかなう夜2 |
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『結局俺の方が惚れてんじゃないか。なんか腹が立つな……』 ついついいらない事もいってしまうというものだ。 「必ず電話しろよ。それに疲れるからっていって別の部屋にしてもらえ」 いよいよ部屋を出る頃になってそんな事をいってしまう自分に雄斗はちょっぴり落ち込んだ。 『俺からは絶対電話しないからな!』そう心の中で叫んでしまうユウだった。 一方竜斗にすると確かに光田は危ないやつだが、ユウが心配するほどバカじゃないはずだ。 「わかってる、大丈夫だから」 「本当かよ?光田はお前の事タイプで狙ってるんだから忘れんな」 「大丈夫、お土産買ってくるからね?」 出張先は札幌だ。小樽に足を延ばしてカニでも買って帰ろう。 出張の得意先よりお土産が気になる自分がハマり過ぎてるなと思う。 不味いな、ユウを忘れてちゃんと仕事をしないと親から干渉が入りかねない。 竜斗はそれを最も恐れていた。 仕事は順調にすすみ、ツインでとったホテルも途中から光田の方から、 「先輩のいびきがうるさくて寝られない」などと不名誉な事をいわれ 結局シングル二つ取り直した。 まったくユウが心配するような事は何もあるわけないのに。 帰る直前の6日の朝、竜斗は苦笑しながら小樽の海鮮市場に向った。 このあたりは歴史が浅いせいか寒いせいか笹を飾ってる家などなかった。 さっそくタラバ、ズワイ、毛ガニなどをセットにしたものを見せてもらう。 食べくらべるのもいいなぁ。などと独り言をいうと 「お客さん、花咲も美味しいんだよ。こっちじゃあまり手に入らないけど 送る気なら花咲に友達が住んでるからいっしょに送るかい?」 市場のお兄さんが親切そうに声をかけた。思わず竜斗は彼に微笑みかけた。 「あんた、俳優さんかい?良い男だよね?普通ならこんなことしないんだけどさ、 俺、美人と美男子にちょっと優しいんだよね」 そういってにやりと笑った。 そういう彼も男前でなかなかすがすがしい青年だ。 「じゃあ、頼もうかな、そういえば北海道では笹は飾らないの?」 「実は北海道は寒いから8月にやるところが多いんだよ」 そんな話ですっかり打解けた市場のお兄さんの希望で二人仲良く写真におさまると竜斗はすでに心はユウの元に飛んでいた。 帰りの空港で携帯に連絡を入れると、途中まで迎えに来ると言う。 いったいどういうつもりか解らないが、こんな事もあるなら出張もいいななどと 呑気な事を考えているうち、ふと恐ろしい事を思い出す。 そういえば毎日電話しろっていっていたような。仕事も忙しかったし、雄斗からも電話はかかってこなかったけど、まさか怒ってないよな。 案の定、空港まで迎えに来た雄斗の顔は怒りで引きつっていた。 「カニ送ったよ。明日着くって」 「カニなんかどうでもいい」 あぁ、とてつもなく怒ってる。竜斗の荷物を取り上げてどんどん前にいくユウを竜斗は頭をかかえるつもりで小走りに追いかけた。 「ユウ、待てよ。ユウ!」 いきなり立ち止まるユウに竜斗は思いきり鼻をぶつける。 「電話はしてこないし、留守中見合い写真は届くし」 そういえば、父親が見合い用の写真を送るといっていたような、すっかり忘れていたが。 「それに市場のにいちゃんと浮気したろ」 「浮気?してないよ。誤解だって」 しかし、市場のにいちゃんってなんでそんな事まで知ってるんだ? |