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Pie in the sky |
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しかし、そうはいってもその男が殆どなんの前技も愛撫もしないで早急に挿入してきたのには驚いた。 「ちょっと……まって」 そういって身を捩ったがぐんっと奥まで入ってくる。ついさっき他の客とやったばかりだから なんとか受け入れたが下手をすると裂けていたかもしれない。 「い、痛い……」 男は聞こえない振りをして無言で腰を動かす。そこへが成ヶ澤がやってきてそのままその男に覆いかぶさった。 俺に断わりも無くいきなり3P突入かよ? 「翼……好きだ……翼」 「あぁ……成ヶ澤さん」 「そうだ……もっと腰を振れ」 「あぁ……っ」 「翼……いいぞ。いいかんじだ」 なんなんだ?いったい……俺は唖然とした。こんな事は初めてだ。俺のボーイとしてのプライドはずたずただ。確かにアイツは俺とも身体は繋がってるが、意識は全く二人の世界。これじゃあ俺は刺身のつまで完全に添え物だ。 あいつらはさんざん二人で盛り上がった後、俺の存在を無視したまま抱き合ってディープキスをしていた。 俺にはなんの言葉もかけずに成ヶ澤が出ていくと翼と呼ばれた男はやっと俺の方を振り返った。 「アムロっていうんだって?お前、それでも売りか?全然経験不足だな」 怒りで俺の顔は真っ赤になった。 他の事でバカにされてもこういう経験が不足してるなんて思った事もなかった。 「痛いのはいやなんです」 むかむかするのでそう吐き捨てるように答えるとそのまま独りでシャワールームに向う。だが、翼と呼ばれた男はアイロニーな笑みを浮かべたまま俺の後をついてきた。 「痛い事なんかするもんか。SMは趣味じゃねーよ。お前、可愛がられるばかりだったんだろう?俺が躾けてやってもいいぜ?」 そう言われて俺は改めて翼と呼ばれた男の顔をまじまじとみた。 目つきはきついがこいつは本当に男前だった。俺はイケメンなんかいやというくらい見てきたが、こいつの鋭く猛禽類にありがちな瞳は一度見たらなかなか忘れられないほど印象的だった。その上、身体も自分と違ってすごい筋肉だ。成ヶ澤のやつ、本当はこういう男がタイプだったのか? 逡巡しているうちに、翼はさきほどとは違って俺の頬に掛かった髪をそっと撫で上げると信じられないほど優しくキスをする。 触れるだけのキスから啄むようなキスに変わり、ふたりでそのままシャワールームでシャワーを浴びてながら 信じられないくらい長い時間キスをしていた。悔しいがこいつ俺よりずっとキスがうまい。こんなに上手い奴に俺は初めて会ったかも……意識が朦朧としそうだ……。 「確かにお前の素材は最高だ……成ヶ澤が褒めちぎっていただけのことはある」 そういって翼はふっと微笑む。 「成ヶ澤が出張から帰る1ヶ月後くらいまでには一人前にしてやれそうだ」 朦朧とした意識の中、俺はその一言を反芻していた。一ヶ月?一ヶ月っていったよな? 「俺、時間で働いてますからそんなに拘束されるのは無理です」 がしがしとタオルで頭をぬぐいながら翼がにやりと笑った。 「ばかだな……帰れると思ってるの?知らないのか?お前は拉致されたんだ。この部屋に入ったら最後、後釜が入って来ない限りここにいなくちゃいけないのさ。俺はもうここを出る。つまりお前が後釜なんだよ」 俺はそれを聞いて血の気が引いた。あわてて濡れたからだのまま、入って来たドアをがんがんと叩く。無論びくともしなかった。そうだここは電子錠だった。青くなった俺を翼は宥めるように優しく背中から包み込みそっと耳朶を噛んだ。 「無駄だよ。ここの階はやつの貸し切りなんだ。アイツが開けない限り絶対外には出られない」 でも食べ物とか……俺がそう言おうとすると、 「でも心配しなくていい。セックスが好きならここの生活はなかなか快適だ。そこに小さな荷物用のエレベーターがあるだろ?そこから必要なものが届けられるよ。 時々、掃除のおばさんがくるけど強面のお兄さんも一緒だから逃げようなんて考えないことだね」 やつはそういって俺を値踏みするように上から下までじろじろ見つめた。 |