お仕置きは念入りに



 

【7】


 

 まるで夢のようだった。しがみついてくる白い腕もぴったりと吸付く張りのある肌も。

 「うん、んん……」

 そんな鹿央も最初こそ、寝ぼけたように美杉の指から逃れようと身体を捩ったり、手を押してきたりしていた。

 だが、鹿央は彼の欲望を刺激すると、とたんに抵抗をやめ、それこそ自分の方から足を開いて欲望を押し付けてくる。

 美杉の中に鹿央に対する愛おしさが溢れそうになる。可愛い、愛おしい、もっと 愛してやりたい。もっと自分を感じさせてやりたい。

 酔いからきているのか、それとも欲望に捕らえられているのか、鹿央の頬はうっすらと染まり、同時に美杉の指の動きにあわせるように甘い吐息がもれる。

 堪えの利かなくなった欲望をそのまま放射線状に窄まった襞に押し付けた。

 美杉の欲望の先から流れる蜜が舐めるように鹿央の襞を愛撫する。

 「何?」

 息を荒くしながら、状況がつかめていない鹿央は縋るように美杉に声をかけた。 そんな無邪気な吐息に美杉は苦笑しながら、

 「気持ちいいばかりじゃ、お仕置きにならないだろうが」

 冷たく言い放ち、まだ、慣れていないそこに無慈悲に腰を押し付けた。

 「くっ…い、痛い……」

 「痛くなくちゃ、お仕置きの意味なんかがないだろう」

 「や、やめろ…」

 脂汗の滲む鹿央の額をみていると美杉は少しだけ可哀相な気持ちになってしまう。自分でも訝しがりながら親猫のように鹿央の首筋を宥めるように舐めてやる。鹿央はその動きに合わせて甘く啼いた。

 「これ以上、痛い思いをしたくなかったら、俺の動きに協力するんだよ。先ずは力を抜きな」

 「で、できない…」

 「できるさ。ほら…」

 萎えかけた鹿央の欲望を宥めるようにあやすと、少しずつ欲望が兆し、鹿央の全身の力が一瞬抜けた。 そこを再び分け入るように腰を突き出した。

 「あぁ……」

 悲鳴に近い声で喘ぐ鹿央の耳許で美杉はさらに甘く囁く。

 「一番辛い部分は入ったぜ。俺の天然の蜜で先に中を濡らしてやろうな」

 「あ、あ、あぁ…やめ…やめてくれ…」

 「もう、無理……いくぜ」

 そういうと美杉は小刻みに高速で腰を揺らして鹿央の中で蜜を迸る。

 これで、終わりなのかとさらにほっとした鹿央の全身の力が抜けた瞬間に

 「まだ、序盤だぜ。これから本格的にお仕置きが始まるのさ」

 そういうが早いか、美杉は固いままの欲望を最奥までしっかりと収めた。

 「どうして……こんな……早く抜いてくれ」

 「慣れてなきゃ抜くのもかなり痛いぜ。このまま俺の形をお前のここでしっかり覚えるんだよ」

 「よせ…頼む」

 「ばかだな、あんたも。もうどうせ俺達は最後までいっちゃったんだぜ。後はせっかくだから あんたも楽しまなくちゃ損だろう。俺の言うとうりにしていれば、痛いばかりじゃないさ」

 皮肉たっぷりの口調で唇の端を微かに上げた。

 怯えていた鹿央が確かめるように下半身を硬直させる。

 「誰が締め付けていいっていったんだよ。俺はあんたと違ってまだ若いから絶倫なのさ。 一度や二度で許してもらえると思ったら大間違いだ」

 口ではそんな残酷な事をいうのに、美杉はすっと目を細めるとあやすように鹿央の唇を甘嚼した。

 「あ…」

 鹿央が仰け反るように顎をあげる。

 「あんた、意外に可愛いじゃないか」

 焦点のあわない瞳で鹿央は意味がわからないのか 僅かに口びるを動かしただけだった。

 「さて本番といくか……俺の腰に足を回してしっかり掴まっていろよ」

 美杉はそういうが早いかぴったりと重なっていた二人の隙間に一度ぐっと腰を押し付けて 味わうように腰を回してから、再び高速で抜き差しを繰り返す。

 そうしたかと思うと長いストロークでゆっくりと腰を抜きつつ、離れる瞬間に再び腰を打ち付けた。 喘ぎというより叫びに近い声を鹿央は絶えまなくあげていた。

 「あ、あぁ……よせ、……あぁ」

 「何がよせだよ、涎をたらしてるぜ」

 「違う……うぅ……違うったら……」

 「違うやつが、勃たせるかよ」

 そういいながら自覚を促すように彼の欲望を握り込んで再び動きを止めた。

 「すげーな、あんた自覚がないかもしれないけど、あんたのココ、誘うように奥の方に ウェーブして締め付けてくる。こんなの初めてだな」

 荒い息のまま、鹿央は首を背ける。赤くなった首筋が白い肌を色っぽく染め上げていた。 「気持ちよければ、男だって女だっていいんだろうが?女にセクハラするより男と楽しんだろうが あんたには似合ってるぜ」

 再び動き出した美杉にしがみつくようにして鹿央が、喘ぎ声をあげる。 一瞬、大きく痙攣し長いうめき声をあげるとそのまま動かなくなった。 逐情した瞬間にぎゅっと締まった局部に美杉も堪らず硬直して果てた。

 ゆっくりと身体を重ねると柔らかな鹿央の寝息が聞こえてくる。 その引き締まった腹筋の上に美杉もゆっくりと身体を重ねた。

 美杉は、無防備に寝入っている鹿央を複雑な気持ちで見つめていた。 酒が入っていたとはいえ、殆ど彼は抵抗しなかった。それどころか、しがみついてくるように 最後には身体を押し付けてきたはずだ。

 セクハラおやじに、こんな色気があっていいのか?しかも身体の相性も滅茶苦茶よかった。 こんなに燃え上がったのは久しぶりだ。

 実際いつもの自分なら、寝入ってる相手を置いて、そのままホテルを一時も早く後にしていたはずではなかったか? 今こそ、こんな場所にぐずぐずしていないで、ここを立ち去るべきなのだ。

 しかし黙って置いていくには鹿央の寝顔は、少年のように無邪気だった。

 きっとこんな歳になるまで、苦しい思いもせずに悩みもなく育ってきたからこそ、こんな無邪気な顔で 眠れるのだ。

 それに比べて自分は……。

 なまじ勉強が出来た分、家族に過剰な期待をかけられて育ってきた。

 それが嫌で、海外に逃げたはずだ。

 そこで覚えた禁断の蜜の味。

 東洋のプリンスなどともてはやされて、そこそこ成功していたのに、なぜ日本に帰ってきたのかといえば、 両思いだと信じていた男に裏切られたからだ。

 彼は、あれほ美杉だけだと言っていたのに、あっけなくイギリス系の白人の金持ちの若い女と結婚した。

 所詮、自分は彼にとって本気の相手ではなかったのだと思った時、もうこんな国になんか 少しだっていたくはない……そこまでぼろぼろに傷ついて帰国したのだった。

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