お仕置きは念入りに(番外)



 

【18禁】


 

 鹿央と美杉は、まず手始めに吉田を会議室に呼んだ。 それは無論、今回の疑惑について問いただす為だった。

 「鹿央さんが、二重スパイだったなんて知らなかったなぁ。僕も全く人を見る目がない」

 吉田は、ドアの前に立ったまま、悪びれもせずに言い放つ。

 「吉田くん、そんな風に悪ぶらなくても、君をやめさせるつもりなんかないですよ」

 鹿央がそういうと、美杉も驚いたように鹿央の顔を見遣る。

 「どういうつもりだ?」

 「吉田君に責任がないとは言わない。だけどそれは辞める事ではなく、今後の仕事で挽回して欲しいんです。 元はと言えば、生島が君に目をつけて我が社を裏切りたくなるような提案をしたのだろうから」

 吉田は唇を噛んだ。

 「実家が小さな酒の卸し業をしてるんです。そこに圧力をかけられて……今さら何をいっても 言い訳にしかなりませんが」

 「わかるよ。僕も兄のやり口は昔から知ってるから。そして吉田君が仕事のやる気のない僕の代わりに ずっと僕をフォローしてくれたことにも、感謝してたんだ、だから今回だけは不問にしようと思う」

 そういった鹿央に美杉は、大きくため息をついた。

 「いったい誰が責任をとるんだ?」

 「僕がとりますよ。今まで会社に貢献してこなかったんだから、このまま美杉さんの下で働かせて欲しいんです」

 美杉は吉田に視線を送りながら、「大株主が部下ならやりにくいよな?」と同意を求める。

 吉田は、ただこぼれる涙を拭おうともせずに泣き笑いの顔で頷いた。

 涙を拭いた吉田が部屋を出たと同時に、鹿央は照れくさそうに微笑む。

 「やりにくいなら、他の課に移ります」

 「ってことは、他の奴が、あんたにいろいろ命令するのか?それも嫌だな」

 美杉は長い足を組んだまま、下唇を舐めた。

 その仕種に鹿央は思わず目を逸らす。

 「感じてるの?」

 「軽蔑しますか?」

 「まさか!嬉しいよ」

 「本当に?」

 上目遣いになる鹿央を美杉は眩しそうに見つめる。

 「そんな顔しないでくれ。ここで欲しくなるから」

 「み、美杉さん……な、何をいうんですか!」

 慌てふためく鹿央の下半身に美杉はそっと手を伸ばした。

 「そんな誘うような目をしてるのに、ここはまだ慎ましやかだな……ん?そうでもないか? 反応してるじゃないか」

 「や、やめてください」

 鹿央が必死に身体を捩る。

 「ここじゃ駄目なら、いつものホテルに部屋をとっていい?」

 甘えたような美杉の声色に、鹿央は恥ずかしそうに小さく頷いた。

 ホテルの部屋には美杉が先に到着していた。怒濤のような今日一日の事を思い出して信じられない気持ちでいっぱいだった。

 なにより心に引っ掛かっていた鹿央と生島の事を思い出すだけで、顔が綻ぶ。兄弟なら名前で呼んで当然なのだ。

 「紛らわしい事しやがって」

 口では罵りながらもゆっくりと身体を洗う。鹿央が部屋に来たらまず、自分が身体を洗ってやろう。 きっと鹿央は馴れていないから、恥ずかしがるに違いないのだ。

 鹿央の身体に集中するために、さっさと自分の身体を洗うのは終わらせて鹿央をたっぷり可愛がってやろうと 妄想するだけでますます顔が緩む。

 鼻歌を歌ってふと顔をあげると、洗面所のドアの前で真っ赤になって固まっている鹿央が立ちすくんでいる。

 「おい、そんなところに立ってないで一緒に入れよ」

 美杉にぶっきらぼうに言われて鹿央の顔はますます赤らんだ。

 「それとも抱き上げられて無理矢理脱がされる方が好み?」

 「違う……」

 「じゃあ、自分で脱いでこっちに来るんだ」

 美杉の乱暴な口の利き方に、鹿央は恥ずかしいほど興奮していた。

 「こいよ」

 ぐっと濡れた手で引っぱり込まれて深く口づけられるとそれだけで鹿央の雄は強く反応してしまう。

 美杉は唇を合わせた角度を変えながら器用に背広を脱がせた。 最後の下着に手をかけると鹿央が少しだけ抵抗する。

 「待って、待って欲しい」

 「どうして」

 「身体を洗うから……」

 「それは、俺の楽しみだ。あんたはただ、じっとしてればいい」

 「で、でも汚いから……」

 「どこも汚いところなんかないさ。どこも可愛いよ」

 「美杉課長……やめてください」

 「二人だけの時に課長なんていうなよ……灼(あらた)って呼べよ」

 鹿央はそれだけで真っ赤になる。

 「やっぱり、あんた可愛いな」

 「灼さんだって、僕の事あんたって…」

 鹿央の甘えたような小声を美杉は聞き逃さなかった。

 「直樹……」

 その一言で鹿央の欲望が立上がる。

 「直樹……本当に俺でいいのか?」

 「灼さんこそ」

 そういいながらも鹿央は、美杉の無駄のない引き締まった身体に目が釘づけになる。鹿央はぎゅっと縋り付くように美杉の身体にしがみつく。

 美杉は噛み付くようなキスをしながら、片手で器用にボディシャンプーを取ると念入りに鹿央の身体を洗い出した。

 ゆっくりと円を描くように、泡を立てる。

 鹿央の身体が羞恥に染まって微かに震えていた。素面でこんな事をするのは初めてなのだろう。

 「赤くなるのは顔だけじゃ無いんだ」

 両方の胸の中心に小さな突起が固く蹲っている。美杉はそれを指の腹で刺激してから 親指で何度も弦を弾くようにつまびく。

 「こんな所まで立たせてる……本当にイヤらしい人だな」

 「あ、あぁ……ん……」

 深い吐息を漏らしてから、不安そうに鹿央が呟いた。

 「……軽蔑……す…る?」

 「まさか!女好きだったあんたがこんなに可愛く啼くなんて嬉しいんだ」

 そういうとちゅっと音の鳴るキスを首筋から肩へと落としていく。その間にもゆっくりと美杉の右手が 鹿央の起立した欲望に向って割れた腹筋の上を泳いだ。

 「あっ……ちょっと待……って」

 「ここは、たっぷり蜜が溢れてるし……ローションなんていらないな」

 その蜜を掬い取ると後ろの襞に幾度も運んで潤した。

 「だ、だめ、それ以上……は、すぐにいってしまう…」

 切羽つまった鹿央の声を美杉は自分の唇の中に吸い込むようにキスを重ねる。

 鹿央の視線が宙を舞い、両腕で美杉にしがみつきながら苦しそうにその背中に爪を立てた。

 「まだ、だよ。これからじゃないか」

 「変だ……本当に変になってしまう…」

 鹿央の内股は、限界だと訴えるように震えだし、もう限界だというように腰を押し付けてくる。

 「困った人だ……堪え性がないんだから…」

 そのまま鹿央の片足を自分の肩にかけると鹿央の欲望から泉のように湧き出る透明な蜜を たっぷりと後ろの襞の奥地まで塗込めた。

 「あっ……ううぅ……っ」

 念入りに襞の奥地まで蜜を運びながら指を使って器用に拡げていくとそれだけで 鹿央はぴくぴくと痙攣した。

 「まだ、いくな……一人でイったりしたら許さない」

 美杉は自分の欲望を鹿央の綺麗に揃った襞にあわせると、じらすようにその襞を愛撫しながら、 鹿央を欲望の根元をきつく握りしめた。

 「み、美杉……さん、もう……」

 限界を訴える鹿央の下唇を甘噛みしながら、本当にゆっくりと僅かずつ埋め込んでいく。 鹿央の襞は、美杉を誘い込むようにうねりだした。

 「すごい……中に引きずり込まれる」

 美杉は誘われるまま腰を落とした。

「あぁ!」

 鹿央はすでに最奥まで入り込んだ美杉の欲望を絞り込むように締め付けた。

「おい!千切れる!少し緩めろ」

 夢中になって首を振る鹿央を宥めるようにキスを繰り返しながら優しく髪に触れた。少しだけ落ち着いた呼吸に美杉は少しだけ身体を離しながら鹿央の欲望を愛撫する。

「焦らなくても、これはもう直樹のものだ。ゆっくり味わってみろよ」

 そういうと少し弛んだ中の感覚を確かめるように腰を押し付けてゆっくりと回した。

 「んっ……んんっ……」

 くぐもった声に刺激されてますます欲望を滾らせた美杉は、鹿央の感じる位置を探るようにゆっくりと下から上に突き上げ始めた。

 「だ、だめ!そこはだめ!」

 「だめじゃなくて、いいの間違いだろ」

 「本当に変だ、変だよ……中が……中……」

 実際、鹿央の中はいきなり痙攣するようにさらに締まりだし、美杉の欲望をさらに奥へと導いてゆく。

 「すげ…っ熱くて全身がこのまま吸い込まれそうだ」

 しがみつく鹿央をしっかりと抱き締めながら、耳朶を軽く噛んだ。

 「あぁ……おかしくなってしまう…ずっといってる感じが…続いて……恐ろしい」

 実際、鹿央と美杉の間に挟まれた鹿央の欲望から、止め処なく透明の蜜が湧きいでる。

 美杉もあまりの鹿央の中の心地良さに、しばし声も出ない。全ての襞が美杉に絡み付いて美杉は自分の欲望が溶けてしまうような錯覚を起し大きくため息をつく。鹿央は感じ過ぎるのが怖いのか必死に左右に首を振り続けた。

 「大丈夫だ、怖くないよ。ただ俺から与えられる快感を、直樹は素直に感じればいいんだ。俺もこんなに気持ちがいいのは初めてだよ」

 「だ…けど……」

 不安そうに潤む瞳に、美杉は優しく微笑んで味わうように腰を回してから、もう堪えきれなくなったのか高速で鹿央の中に打ち込む。

 そしてその瞬間、身体を固くして、満足そうに自分の欲望を鹿央の中に解放した。

 荒い息の鹿央の背中を宥めるように何度も優しく撫でながら甘く囁く。

 「どんなに、直樹が乱れてもそれは、二人だけだから、いいじゃないか?この夜の世界には 他にどんな生き物も存在していない。この宇宙に二人だけだと信じられないか?」

 「二人だけ?」

 朦朧とした様子でただ鹿央は言葉を反芻する。

 「そう、直樹がどんな風に感じても俺だけしか知らないんだからいいんだよ。 日中は、男同士だから今後もそれぞれの世界を持っていくと思う。だけど、夜だけは、 二人だけで俺達以外誰も、直樹がどんな風に乱れるかなんてしらない。 こんなすごい快感を…二人で共有する充実感を、二人だけの秘密にしてるって結構いいかんじだろ?」

 半分放心状態だった鹿央は、照れくさそうに美杉を見上げて、返事をするように 自分の中に入り込んでいる再び美杉をきゅっと締め上げる。そして鹿央も大きく仰け反ると自分の欲望で二人の腹筋をたっぷりと濡らした。

 「ここで返事をするなんて、生意気だ!もっと念入りにお仕置きをしないとな」

 そう言った美杉に、再び鹿央の中は嬉しそうにきゅっきゅっと締め上げた。

FIN

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