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試される運命7 |
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雄斗は少しだけ考えた。この事を父や祖父に相談すべきかどうか。 携帯を手に取ったとたん、無意識に雄斗の番号を押していた。 しかしまた、ふと思い直す。雄斗は授業中かもしれないのだ。 竜斗は決心したように社長室のドアをノックする。秘書室長は竜斗の素性を知っているので 軽く会釈しただけだった。 社長で雄斗の父でもある樋木竜之介が竜斗の入ってきた勢いに顔を顰めた。 「どうした?ノックをしても入れと言わなければ……」 竜斗がそれを遮った。 「ワシバネの羽鷲が下のラウンジに来てるんです」 「何っ?か、会長が?」 「お祖父様が来られるわけないでしょう。健吾ですよ。再従兄弟の……」 「お前、再従兄弟なんていたのか?」 「お祖父様の弟の孫だとか」 「それはたしかに再従兄弟だな」 樋木は渋い顔をする。 「どういう目的でここにいきなり現れたのか知ってるのか?」 「いえ……」 「では、一人で会わない方がいい。室長の古宮をつけよう。すぐいけ」 樋木は決断すると早い。古宮を呼び出して竜斗と健吾の様子を窺うよう指示していた。 竜斗が1階のコーヒーラウンジに入ると一番目立つ正面の奥で健吾は足を組んで待っていた。 「遅い!」 「アポも取らないで遅いもないでしょう」 「相変わらず、ガードが固いらしいな」 「どういう意味ですか?」 「高校時代からお前の周りはガーデアンで溢れてたしな」 「知らない」 「お前のお祖父様の差し金でお前には様々なタイプの保護者がついていたってことさ。 俺は何度も近寄ろうとしたけど、無理だった……最近やっとガードが緩くなったと思ったら、 ちゃっかり親の庇護の元で可愛い顔したガードマンまで雇いやがって」 健吾に言われるまで、自分が高校生活で誰かに守られていたなんて感じた事は一度だってなかった。 たしかに高校でも友達なんかできなかった。どこか皆がよそよそしかったのは、祖父の会社の所以だと思ってはいたが、そんな環境に慣らされていてさほど嫌には感じなかった。 大学時代は結構友人ができた事を考えると強ち嘘でもないのだろう。 それにしても可愛いガードマンって誰だ?まさか雄斗か? 「可愛いガードマンって……」 「お前にそういう趣味があるなら恋人かと思ったが、お前はノーマルだもんな、しかもあいつあんな可愛い顔でなかなかやりやがる」 「……何の目的?」 「率直に言えばお前に譲られる事になってるうちの社の株を俺に回して欲しいんだ」 「……?!」 いきなり信じられないような申し出に竜斗は固まってしまった。 |