KARATE4

試される運命3


 実をいえば2、3日前から雄斗は自分の背後に不振な気配があるのを感じていた。無論、そんな事はリュウには話していなかった。彼を不安にさせるくらいなら自分でできる限りの事はやっておこうと思っていたのだ。

 だから、その度にわざと遠回りして相手を巻いてきたのだが、今日に限って相手が複数だった。 しかも雄斗を挟み撃ちにするように通りの向こうからと背後から様子をみている。

 けっして高校生のような悪戯や興味本位ではなく、多少心得のある連中が意図的にやっているのだと解ったとたん、雄斗は駆け出した。

 しかし、退路を塞ぐように先の道に車が不自然に置かれている。

 その車の後ろから現れた一人の男の不敵な笑みを見た時、雄斗の表情が強張った。

 なんとその男の面影がどこか竜斗に似ているのだ。竜斗の様な人のよさそうなぼーっとした感じは全くないが骨格というか顔の造りは確実に似てるなと感じていた。

 数人の男達が取り囲むように雄斗の廻りに身をすべらせる。雄斗はすっと身構えた。

 「何の用だ」

 感情の篭らない声が辺りに響く。

 「ちょっと尋ねたい事があってね」

 その男は姿だけでなく声もリュウに似ている。

 「アポイントメントをとってないだろう?」

 揶揄する雄斗に男は答える。

 「生憎、インフォメーションが見つけられなかったのでね」

 そう言いながら、さらに間合いをつめてくる。

 一斉に襲ってくる男達を少しの間合いで交わしながら雄斗はそのリュウ似の男の手首を掴んで 後ろにきつく捻上げた。

 「お前、羽鷲と知り合いか?」

 「……私も羽鷲だ!」

 「……!」

 思わずユウは絶句する。

 「おまえ、竜斗とどういう関係だ」

 「……。」

 どう考えても、この無礼な男に自分達の関係を知らせるのは得策ではない

 「お前は、竜斗のボディガードだったんだな?」

 「まぁな」

 思わずそう答える。

 「こんな軟弱そうな男をボディガードに雇ってカモフラージュするなんて、手の込んだ事をしやがって……」

 羽鷲と名乗った男は勝手に誤解したようだ。そしてそこで納得したようで あっという間に呆然とした雄斗を残して彼等はいなくなったのだった。

 羽鷲という名はそんなに有名な名前ではないような気がする。 多分、リュウと縁戚とか関係のある人間であることは確かなようだった。

 雄斗はいつかリュウが言う気になるまで、リュウの事情を聞こうとは思っていなかったが 呑気な竜斗を囲んで様々なことが蠢き出している……。

 どうやら状況は切迫しているようだ。リュウの事情なんてそんな悠長な事はいっていられないようだった。


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