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試される運命17 |
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こういう時は言葉がいらない。竜斗は雄斗が彼に寄り掛かってタクシーに乗ってるだけで 満足だった。 竜斗の祖父が何かあったら使いなさいといってくれたホテルにもいけるのだが、祖父に対して少しだけ 心に引っ掛かるモノがある竜斗としては、自分の給料の範囲で泊れるホテルを捜してあった。 未来が見えない以上、誰にも借りなんか作りたくない。 竜斗と一緒に200%充電のはずの雄斗はそうはいってもやっぱりふらふらしながらなんとか自分で歩いて部屋まで辿り着いた。 雄斗は倒れるようにベッドに俯せる。 やっぱりいつもと違う。 普段から身体を鍛えているはずの雄斗だから体調が悪いというより精神的に疲れているのだろう。 「何か飲む?」 「いや、近くにいてくれ」 雄斗はそういうと竜斗の手をとって自分の額に当てた。 「ユウ……」 「ここにいて」 「ここにいるよ」 「俺……変だろ?」 「あぁ、少し変かも……でもユウだ」 そういってリュウは優しく微笑みながらそっと張注文してあったワインを差し出した。 「何も聞かないでいてくれるんだな」 「言いたかったら聞いてやるけど」 二人はどちらからともなくそっと唇をあわせた。 そのあとは当然ベッドに行き小さくなった印象の雄斗の髪をそっと撫でながら竜斗は自分の方に引き寄せた。 健吾のあの挑発的な台詞が胸の奥でちくりとしたが、それすら怒濤のように沸き上がる愛おしみと熱い欲望が二人を熱くさせた。 いつになく竜斗は雄斗の服を乱暴に剥ぎ取り貪るように身体を愛撫する。 「リュウ……痛いよ」 「今から痛がってどうする……これから本番だろ?」 「優しくないな」 「優しくなんかしてほしくないくせに」 そうだ、今は全てを忘れるくらい乱暴にしてほしい。そして竜斗はいつになく積極的で力強かった。 雄斗の弱い脇腹の辺りを唇で果敢に攻め立てながら、そっと後ろに指を這わせた。 「あ……ま、まて……」 「待てない……」 そう言った瞬間、慎重にかつ、大胆に雄斗の蕾を捉えながら指を差し入れた。 「あぅ……」 そこは、まだ硬く入り口を閉ざして侵入を阻んでいた。竜斗は小さく安堵する。 「リュウ……いやだ……今夜は俺が……」 「だめだ」 そういうと竜斗は諦めずに何度も入り口をそっと解しながら指を増やしていく。 「あ……あ……あぁっ」 そして雄斗の喘ぎにあわせて竜斗は慎重に抜き差しを繰り返していった。 完全に立上がった雄斗の欲望を確認すると雄斗の片足を自分の肩にかけた。 「うっ……うぅ……っ」 自らの昂りをぐっと雄斗の腰にあてがう。 「リュウ……いやだ……嫌だったら……」 弱々しく首を振る。だが、いつもの竜斗らしくもなくその動きを止めようとはしなかった。 「嫌じゃない……訳がわからなくなるぐらい気持ちよくさせてやる」 そういってから竜斗はさらに動きを速めて追い込んでゆく。 その夜の竜斗は獰猛な肉食獣のように雄斗のすべてを喰らいつくした。 雄斗がリュウに腰を掴まれながら透明な迸りを吐き出した時、きつく締め付けられたリュウも 「くっ……」と小さく呻いてユウの中にその欲望を叩き付けた。 「気持ちよかった?」 「……中に出すなよ……」 雄斗は照れくさそうにトイレに立った。 「洗ってやろうか?」 「結構です」 雄斗が真面目くさってそういうと二人はくすくすと笑いあった。 「愉快な話じゃないけど聞いてくれるか?」 雄斗が身体を洗ってすでに先にベッドに入っていた竜斗のベッドに腰掛けた。 「あぁ、聞きたいな」 「実は……健吾が俺の母親が真野綾香だというんだ。全く証拠なんかないが、俺には思い当たる節がある」 「え?それって……あの……暫く名前を聞くのも嫌がっていた女優のことか?」 「あぁ、全く似てるはずだよ。母親だったんだから……。たぶんあれは幼稚園ぐらいの時だったと思う、祖父母の家に行った時、知らない綺麗なお姉さんがいてさ。少し母に似ていたんだ。優しくしてくれた。 祖父母の家にはよく預けられて多分父母より懐いていたんだと思う。アレが今思うと真野に間違いない」 「御両親とうまくいってなかった話は聞いてないけど」 「うん、淋しくはあったけど、あれが普通の親子関係だと思っていたんだ」 「淋しかったって?」 「幼い頃から両親は二人だけで海外旅行によくいっていた」 「二人だけで?」 「ん……祖父母はお母さんも普段働いて疲れてるから休みまで子供の面倒はみられないのって言われて……」 「変だと思ったんだ?」 「変とかいうより、すごく淋しかった。母も父も忙しくて俺が中学にいた時、強姦されたのだって 気がつかなかった。高校からは碌に会ってもいない。それを淋しくも感じない自分が冷たいと思っていたけど」 「ユウは冷たくないさ。いつも熱いじゃないか」 「ちゃかすなよ」 「でも、本当の母親がわかってよかったじゃないか」 「問題はそんなに単純じゃない……父親だよ。真野は父親の名字が羽鷲だって……」 その名を聞いた瞬間二人の空気が少しだけ張り詰めた。 |