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試される運命13 |
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雄斗は声を堪えるように泣いていた。 まるで幼子のように……。 健吾は小さくため息をついて震える雄斗をぐっと抱き締める。 実のところ、つい先程言った言葉は半分くらいは雄斗を煽り、雄斗から何かを引き出せると思って言った言葉だった。 だが、この腕の中の青年はなんと無防備なのだろう。 筋肉と空手をいう硬い殻を剥がせばなんと心許なく危うい存在である事か。 健吾は自分の気持ちの変化に戸惑っていた。 「まじにやばいな……」 その綺麗に筋肉のついた美しい背中をそっとさする。 覗き込むと大きな潤んだ瞳から涙がこぼれ落ちそうだった。 「悪かった……今のお前にはそこまで言うのは無神経だったな。今、暖かいミルクを持って来よう」 健吾がそういうとさっそく併設された小さなキッチンで厚手のカップにたっぷりとミルクが注いだものを持って戻ってきた。そしてそれをそっと雄斗の口に含ませる。 「飲むんだ……」 雄斗は何の抵抗もせずに素直に飲みほしそのままベッドに丸まった。 そのまま微かな寝息を立てて無防備に寝込んでしまったようだ。 もともと肩幅もそれほどなく華奢な雄斗は筋肉がついていても細身だった。 半分雄斗に毛布をかける為に引っ張り上げると雄斗の白い下半身が露になった。 「男の癖に殆ど無毛だな……すべすべしてやがる……」 じっと熱い瞳で見つめてから健吾はそこでもう一度大きくため息をついた。 「これじゃあ、ミイラ取りがミイラになっちまう」 どっちが上なのか知らないが、この青年と竜斗がなにがしかの関係があるのは、間違いないだろう。 恋愛感情があるのかどうかはともかく、この男が竜斗の鬼門になることも間違いないのだ。 だからこそこの男に惚れたらヤバい。 健吾はそう思ったが、すでに自分の心の中に雄斗の存在が大きくなり始めている事を認めざるを得ないと感じていた。 健吾は隣のリビングに移って雄斗の携帯の履歴からそのまま竜斗に電話をかけた。 「ユウ……今どこにいる?」 「ユウは寝てるよ、俺のベッドでな」 「……?!……」 「どうせならこのまま写真をとって送ってやろうか?やってるところのムービーでもいいぜ」 「……健吾?」 「可愛いな……お前の恋人は……彼もお堅い仕事をしてらしいじゃないか?」 「何が目的なんだ?」 「おや?話を聞いてくれるのか?……昼間は碌に話も聞いてくれなかったけど、よっぽど恋人が可愛いらしいな」 「ばかな事はやめてくれ。このままだとお前は今のワシバネでの地位も危うくなるぞ。 お祖父様はそういう権謀術数が大嫌いなんだ」 「ふん、自分が使うのは平気なのに?」 「お祖父様の危ない性格は健吾だって知ってるだろう?僕を脅したなんて知ったらただじゃすまないよ」 「俺を脅そうって言うのか?お前はあの可愛い恋人が気にならないのかい?」 「ユウは帰りたくなったら自分で帰るさ、僕がどうこうできるような相手じゃないからね」 「冷たいな、平気なんだ?他の男と寝ても」 「彼が選べば仕方ない……」 「泣いていたんだぜ?」 「え?」 「俺に縋り付いて泣いていたんだ……あんなにプライドの高い男が」 「う、嘘だ……」 「アイツが泣く程辛い時に傍にいてやりたくないのか?お前は」 「何をいって……監禁でもしてるんだろう?お祖父様にいってもいいのか?」 「監禁なんかしてないよ、ちょっと慰めてやっただけだ。お前達!本当はうまくいってないんだろう?」 「!?」 「あとで、またゆっくり電話するよ。お祖父様にでもなんでも泣きつけばいいさ。お坊っちゃん! そのかわり彼は俺のものだ」 「ユウの声を……」 「だから寝てるんだって!俺のベッドで一糸纏わぬ姿でな。色……白いよな。それに太股の奥に痣があったな」 「健吾!お前……許さねーぞ」 「お休み!いい夢を」 竜斗はいったいどうなってるのか冷静になろうとしていた。 まず、誰に相談したらいいのだろう? 汗ばむ手を握りしめながら時間を確かめて 携帯の番号を震える指で押しはじめた。 |