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試される運命10 |
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雄斗がその気になって色っぽくリュウを誘惑すればリュウに抗う術は無い。 結局リュウは疲れていたにも関わらず狂おしい夜を過ごしてしまった。 受け身ではなかったが、もう起き上がることもできない程心地よい疲れでそのまま 深い眠りについた。 雄斗は自分で始末をするとゆっくりと起き上がる。 抱かれる事に快感がないわけではない。しかしどこか不満が残る。 なぜならリュウが自分に受け身を求めているのが良く解っているからだ。 20才を越して随分経つのになぜ、自分は女なんかに間違えられる事があるのだろう。 いったい何時になったら普通に男として認められるのか? 幼い頃から女顔は自分にとってのまさに鬼門だった。もし竜斗が雄斗に受け身ではなく タチを求めてくれているのであったならこんな気持ちにはならなかった。 「だってリュウはやさしいから……」そう呟く。 優しいから我慢して受け身でいるのだ。 好きという気持ちを 疑っているわけではないけれど、心のどこかに引っ掛かっている棘のようなもの。 そんな堂々回りの気持ちを持て余して雄斗は思わず車の鍵を取った。 竜斗の車だが、貸してと言って嫌だと言われた事はなく自分の車のように乗り回していた。 部屋を出て、駐車場に向うとなんと例のもう一人の羽鷲が竜斗の車に近付いているところで、まさにドアに手をかけていた。 「なんだ?お前」 「お前こそなんだ?こんな時間までガードマンが何してる?」 「あんたに答える必要なんかないね」 「中学校の教師だったんだな」 「……!」 「ガードマンはバイトか?公務員はバイトやっちゃいけないはずだよな?」 「何がいいたい?バイトっていうわけじゃない」 「そうか……お前やっぱり竜斗の……」 そういうと彼は思いっきり雄斗を車に押し付けた。 「は、放せ!ぶちのめすぞ!」 「先生がそんな事をいっていいのかな?リュウも恋人が男じゃいろいろとまずいだろうな」 それを聞いて雄斗の抵抗が弱くなった。 「なかなか聞き分けがいいじゃないか。乗れ!」 そういうと真っ黒なジャガーの後部座席に雄斗を押し込み自分も乗り込んだ。 運転手に何か指示を与えると雄斗の顎を取る。 「小さい顔だな……お前……肌もつやつやして真っ白だ……確かに竜斗が男に興味が無くてもお前なら落ちる」 それを聞いて雄斗はぎっともうひとりの羽鷲を睨み付けた。 「怒った顔も可愛いじゃないか。お前が大人しくしていれば、竜斗に危害を加えないでおいてやろう。俺は健吾だ。覚えておけ」 車に乗ったのは間違いだ……そんな事は雄斗は解っていた。 でも、どこか自暴自棄になっていた。竜斗とこのまま関係を続けるなら様々なハードルが待ち構えていそうだった。それをひとつひとつ取り除きそして自分達の関係をこのままずっと続けていけるという自信が今の雄斗にはなかった。 少しずつ健吾の顔が目前に迫っていた。近くで見れば本当に竜斗によく似ている。 唇が重なる寸前に雄斗はそっと瞳を閉じた。 |