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日本のお祭りも大人になった今では碌に参加しないのに、 何が悲しくて毛唐の祭りに参加せにゃならんのだ? そう思いつつ、外事課の本郷喬は営業先が外資系が多いので結局そんなこともいってられない。 嫌でもお誘いがあれば、ハロウィンパーティに参加しなければいけないのだ。 どうして子供の頃にもやった事がないのに、仮装してパーティに参加しなくちゃいけないのか? ぶつぶつ文句をいう本郷を後目に、大沢聖夜はハロウィン仕様に模様替えされた店内で実に楽しそうである。 「喬にはドラキュラより、こっちのモンスターの方が似合うよ?ほら!」 気がつくとちゃっかり本郷の背中にモンスターの着ぐるみをあわせている。 「嫌だよ。そんなの!」 身を捩って嫌がる本郷に「これも仕事だから」と睨みをきかせつつ、やはり大沢は笑みを隠す事ができない。 「シンデレラとか白雪姫とかの格好をしろっていってないだけいいじゃないか?」 「冗談じゃ無い!それこそ化けもんだ!」 本郷はそういって怒り出したが、大沢は割と似合うんじゃ無いかな?なんて思っていた。 人前では眼鏡をかけて地味な印象の本郷だが、眼鏡をとるとつぶらな瞳がとっても可愛いのである。 一時はコンタクトに変えた本郷だったが、今はもう眼鏡に戻っていた。 大沢も昔のようにそれを反対したりしない。なんたって可愛い顔は自分だけが独占したいのである。 ……で結局、時間をかけて散々悩んだあげく、本郷はトトロのパジャマを選んだ。 「なんか……ドラえモンみたい……」 本郷は不服そうだったが、大沢はにっこり笑って「これも日本のお化けだから…」と真面目な本郷を納得させた。 取りあえず、買った袋にしまい込む本郷に大沢は声をかける。 「でも、やっぱりちゃんと着てみないと……」 「え〜〜!やだよ。こんなの普通の人前で着るの」 その台詞はまさに大沢にとって思うつぼだった。 「じゃ、僕のマンションで合わせることにしよ?」 それを聞いたとたん本郷は青くなって顔は動かさずに瞳だけ大沢の方にじろりと移動させる。 「変な事、考えてないだろうな?」 「変な事って?」 「一緒におまえんちに行ったらサンダースさんが待っていたり……」 「しないしない!それは大丈夫」 前に前科があるから怪しいものだと本郷の大沢を見つめる瞳は冷たい。 でも、仕方ないのだ。 せっかく大人の関係ができた二人なのに、真面目すぎる本郷が決して一緒に住もうとしないのだから。 本当は一緒に住めるといいのだけど、たまに会うこんな生活も悪く無い……。 そう思うとやっぱり顔が綻んでしまう大沢なのである。 |