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Now I'm here 61 |
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そのエナジーは少しずつ『災い』の軌道を変えてゆく。まるで醜悪な生き物が苦しんで断末魔をあげて苦しんでいるようだった。 さらに石榴のエナジーは勢いを増してゆく。押さえる沙羅の周りが高熱をあびたように白く光ってゆく。 「危険だ……」花珠が思わず大きな声をあげた。 ライラの船から戻った花珠はすぐに宙の部屋に隠って彼等の様子を伺っていたのだ。 石榴たちを包むバリアがすごい高熱になっている、このままでいくと沙羅の作ったバリアは「災い』の軌道修正をするまでもたないかもしれない。 大声が聞こえたので真珠が心配して『宙』の部屋に飛び込んでくる。 そこで花珠を見た真珠はあまりの様子に一瞬固まってしまった。すでに花珠の身体は全体が白く変化し瞳は宙を見上げて虚ろになっている。 まるで人形のようだ。生きている感じがしなかった。 「父上さま」 真珠が思わず声をかけるがすでに花珠の心はこの場にないようだった。 大変な事が起きている。真珠は真っ青になった。 あまりの事に真珠が花珠にそっと触れると辺りは急に辺りは真っ暗になり真珠と花珠だけがまるで宇宙空間に投げ出されたような錯覚を受ける。 そこには花珠の強い意識があった。 「真珠……お前も一人でここまで来れたのか?」 「父上……ここは……」 「意識はここにあるが、私達の実体はまだ『宙』の部屋にある。『災い』はすぐ近くだ……穢れるからお前は見ない方がいい」 真珠は白い輝いている何かを発見し、思わず意識を集中する。 それは、まぎれもなく沙羅と石榴だった。 「沙羅!」 「このままではエナジーが切れる前に二人とも燃え尽きてしまう。真珠……意識を集中しろ。 彼等を守りながら少しずつ二人を取り囲む熱エナジーを普通のエナジーに変えて沙羅に送り込む……できるか?」 「はい。経験はないけれど、できる限りやってみます」 すでに花珠は石榴にエナジーを送り続けているらしく見動きがとれないようだった。 経験の浅い僕にはたして自分に花珠の言った事ができるのか?真珠は急速に不安に襲われて身体の中の血の気がなくなったような気がした。あまりの事の重大さに押しつぶされそうだ。 「しっかりしろ!真珠。お前が一人でここまで来られたということはお前にその能力が備わったということだ。恐れている暇なぞないのだぞ!」 花珠は真珠を激しく叱咤する。 「できる!お前にはできる!そしてやらねばならぬ!」 しかし真珠はどんなに抑えようとしても震えが止まらなかった。歯ががちがちと鳴りどうしていいのか解らなくなっていた。 なんとか自らを落ち着かせようと聞こえるとは思えなかったが、小さく口の中で「瀧海……」そう呟いた。 そのころ真珠の呟きは瀧海の胸にダイレクトに伝わっていた。 「真珠……」 瀧海は真珠に何かが起きたと確信する。 慌てて竜に乗り瑠璃国に駆け付けてみると『宙』の部屋はエナジーが複雑に渦巻いていて誰もドアをあける事ができなかったのだ。瀧海は怒りをエナジーに変えた。 このままでは真珠が危ない。そう思うと大きなエナジーが生まれガクンと地響きのような音が鳴り響いて ドアがあいた。なんと瀧海が駆け付けると真珠と花珠は、殆ど意識のない無防備な状態で『宙』の部屋に倒れている。 「し、真珠〜〜しっかりしてくれ!!!」 瀧海は思わず強く真珠を抱き締めた。冷たくなりかけていた真っ白な真珠のからだに少しずつ血の気が通ってくる。花珠はすやすやと眠るように意識を飛ばしている。 戦いが始まったのだ! 瀧海は確信した。自分に何も言わずに真珠が花珠や石榴達と一緒に戦いを挑むはずがない。花珠に触れた事で真珠の意識も巻き込まれてしまったのだ。瀧海はそっと唇を重ね真珠を強く抱き締めた。 真珠は自分の身体の中の変化に気が付いた。瀧海が近くにいるのを感じる。 不思議と先程の恐怖は霧散していた。真珠も意識を集中する。 沙羅と石榴を包む熱を必死でエナジーに変化させなんとかこれ以上の高温に包まれないようにできているようだった。花珠は石榴にエナジーを送り続けながら真珠に指示してゆく。 「そのままそのエナジーを取込むとお前が危険だ!沙羅に送り込め」 「どうやったら……」 「腕を高く上げて交差させろ、指先を開け……そうだそして指先に意識を集中させるのだ」 真珠の指先が真っ白な光に包まれてゆく。 「今だ、沙羅の足下に向ってエナジーを放出させるのだ!」 |