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「皆様の部屋を用意させました。もう今日はお疲れでしょうから、それぞれのお部屋でお休み下さい。 真珠と瀧海、沙羅と石榴は一緒の部屋でよろしいですね?ルーパスには淋しいでしょうが 一人の部屋で休んでいただくことになります」 花珠の説明が終わらぬうちに 真珠はすでに歩き出していた、つんのめるようにして早足で部屋を立ち去る真珠を 瀧海は慌てて追掛ける。 豪華ではないが、趣味の良い美しい二人の為に用意された部屋に入ったとたん、大粒の涙が真珠の薄桃色の頬を伝って厚い絨毯に吸い込まれてゆく。 瀧海がそっと包むように後ろから肩を抱くと真珠は振り返って泣きながら瀧海にしがみついた。 これほどまでに流れる涙があるのかと思うほど、真珠の瞳から涙が溢れだしていた。 どれほど傷付いたのだろう? 実の母に疎まれ、父にその存在を無視されていた現実。 皇太子である事が真珠のよりどころだったろうに、母国と供に消え去った。 それをもっとも残酷な方法でかつて教えたのは自分ではなかったか? 瀧海こそが何も知らず子供だった真珠を同意もなく傷つけ蹂躙し自分以外の選択肢も与えぬまま 今日まで翻弄してきた張本人だ。 もちろん、瀧海とて今日まで真珠の父母の秘密を知らなかった。 知っていたらこれほどまでに残酷にはなれなかったろう。 黒曜の態度から、真珠が花珠の血は引いても黒曜の子供ではないのでは?と疑っていたのだ。 実の親子でこの仕打ち……。 いかほどまでに誇り高く気高い真珠の魂は血を流しているのか? 声をあげて泣きじゃくる真珠の髪を優しくなで、きつくきつく抱き締める。 真珠を手に入れる……それだけの為に自分が真珠にした行為を考えると後悔と申し訳なさで胸が 引きちぎられそうだ。 真珠をこれほどまでに苦しめてているもの、その原因のひとつに自分が加担していると言うのに、 今の真珠には自分しか縋り付く者がいないなんてなんて残酷な事だろう。 そうだ、今の真珠には自分しかいない。他に選びようもないのだ。 もし、真珠に自分以外に頼りにするものがいたら、黒曜の企みに加担した瀧海を 真珠は果して頼りにし、まして愛するなどという事があるだろうか? あんなに残酷に真珠のすべてを奪ってしまった自分。後悔などという生易しいものではない。 自分を八つ裂きにしたい衝動にかられ、もしも可能なら、時が元に戻しもう一度やり直したかった。 いつの間にか、瀧海も涙を流していた。暖かい瀧海の涙が真珠の額を濡らすと真珠は 力なく瀧海の顔を見上げる。 「瀧海……抱いて、お願いだから僕をめちゃくちゃにして」 しがみつく真珠に瀧海も力なく首を振る。 「今のお前をこれ以上傷つける事はできない」 「僕に興味を失った?」 「まさか……そんな事あるはずがない」 事実、瀧海の中心の熱は本人の意思とかかわりなく熱く滾っている。 「僕の心に芽生えかける悪魔を瀧海の力で追い出して、どんなに乱暴だって嫌とはいわない」 これほどまでに苦しんで自らをぶつけてくる真珠にたいして自分のこのもよおされた劣情をどうしたらいいのだろう? 「お願いだよ……瀧海……」 こんなのは愛の欠片にさえならない。 そう自らを罵倒しつつ、欲熱で潤んだ真珠の瞳の妖艶さにどこかで引き止める自分を意識しながら 真珠を抱き上げベッドに寝かせるとどちらともなく唇を貪り、怒濤のような熱い行為に溺れていった。 |
