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とはいえ、石榴は自分が命を長らえる可能性など全く無いと感じていた。 だからこそ、素直に沙羅の愛を受け入れる事ができたのだ。 もし、少しでも生き長らえる可能性があるとしたら、一生自分は沙羅に冷たい態度をとっていたに違いないのだ。だが、そうだとしても、石榴は沙羅を自分と運命を共にさせようとは思っていなかった。 きっと沙羅は自分を守り運命を共にしようと思っているだろう。そんな沙羅の事を考えるだけで 石榴は今まで想像した事もないほど幸せだった。 今までの自分は皆に疎まれ利用され、ただこの星の生贄のように死んでゆくだけの存在だと思い、自暴自棄になっていた。 すべての物が憎く何もかも消えてしまえばいいと思っていた時はほんの少し前だというのに 随分昔のような気がする。 もう少ししたら、もっとはっきりするだろうが、自分の身体の中に沙羅の一部が入り込み それが、小さな沙羅の命の流れをこの身体の奥に育んでいく気がする。 身体の奥が熱い。沙羅に愛されていた場所が疼いていた。 うつらうつらと微睡んでいると、沙羅が冷たい飲み物を持って入ってきた。 「気分はどうですか?身体が熱いでしょ?」 なぜ、自分の身体の事まで知っているのだろうと石榴が訝しんでいると 「たぶん、妊娠してるんですよ。昨夜の情熱的な夜を思えば当然ですが……」 そういって優しく微笑むと沙羅が石榴の顎をとってキスをした。昨夜の沙羅とはまるで別人だ。顔を背けようとするがたしかに力が出ない。石榴の今の望みは沙羅に子供を残してやれたら……そう今の自分が彼にしてやれることはそれだけだ。 「身体を動かしたらまずいかな?早く花珠に会って話したいのだが」 「すぐにたつおつもりですか?花珠様が貴方になにもしないという保証はないのですよ?」 「しかし、時間がない。瀧海さえ了承してくれたら、真珠を連れていきたいのだが」 「瀧海が真珠さまを手放すとはおもいません。暫く離れ離れになっていた二人です。 今は蜜時だ」 「真珠を連れていかなければ、確実に揉めるだろう。しかし、そんな事をしている時間の有余はない、それに真珠も花珠と会ってきちんと出生の話をすべきだと思わないか?」 「解りました。そうおっしゃるなら私から真珠様にお願いしましょう。多分真珠様自らがお発ちになるとおっしゃれば瀧海さまが最後まで反対する事は不可能でしょう。私だって貴方の身体が不安なのですから」 沙羅が悪戯っぽく笑う。 そうはいっても石榴は今までの経緯を鑑みるに花珠と対峙しなければと思うと胃液が逆流するほど、石榴にとってきつかった。 長い間一度も会った事がないとはいえ、お互いの存在を意識しあい、憎みあってきたのだ。 覚悟を決めねばと思うと同時に身が凍るほどの恐怖感が襲ってきた。 こんな事は初めてだ。誰かを愛するというのは弱点を増やすという事だ。 こんなに自分が弱い人間だったなんて、石榴は信じられない思いだった。
「おまえにそう言わせたのは沙羅か?いますぐ追い出してやる。 あいつら二人で行けばいいのだ」 瀧海は真珠の願いを聞いて激怒していた。 「瀧海が一緒にいけるといいのだけど、それは無理でしょう? あの二人がそのままいけば、父上と只ではすみませぬ。もちろん、真珠国の打撃も半端なものではない。 私はそして父と母に聞きたいのです。自分が望まれないで生まれてきたのかと……。 今はこうして瀧海と一緒にいる事を幸せに思うけれど、やはり心に引っ掛かっているのです。 お願いです、瀧海……」 真珠の必死の訴えに瀧海は苦虫を噛み潰したような顔をした。 「これは例外中の例外だ。できるだけ交渉を早く終わらせるのだ。私も一緒にいく」 真珠は信じられないという顔で見つめた。 「よろしいのですか?」 「お前だけでなく、沙羅も最後には私がお前のいう事をきくと思っているのだろう?それが一番腹立たしい」 真珠の顔がぱぁっと明るく輝き真珠の方から瀧海の首に両腕をまわすと熱くキスをする。 「ずるいぞ……」 瀧海は苦笑しながらそういうと、真珠を抱き上げてベッドにそっと降ろした。 |
