僕はここにいる

Now I'm here 44



 石榴の頬は涙で濡れその瞳はきつく閉じられ、肩でせわしなく息をしている。

 「綺麗だ……貴方の中にこうして私を埋め、あなたをかき抱ける事が現実なんて……このまま ずっと時間が止まればいいのに……」

 そんな沙羅の小さな呟きに石榴は小さく頷くと沙羅にしがみついていた両手を放し、二人が入れるほどの光の珠を作った。

 光の珠はゆっくりと移動して二人をつつむ。その瞬間に外界の時が止まったのを沙羅は感じた。 この腕の中の不器用な恋人は自分の戯れ言まで信じてしまうのか? なんとこの腕にあるものの愛おしい事。

 沙羅は石榴の唇をまるでクリームでも舐め取るように何度も優しく口付ける。

 石榴も自分の唇から後ろの窄みまで、沙羅の愛液が流れ込んでくるような錯覚にただ、ただ 快感に流されながら喘いでいた。

 沙羅と石榴はひとつになって、そして互いの快楽という愛液がゆっくりと循環しているようだった。 ぐるぐるとお互いのすべてが溶け込んでお互いの身体を翻弄し、又自分の身体にかえってくるような 感覚。

 石榴を追い詰めようとしていた沙羅でさえ、自分が快感の虜になり、快楽の檻に拘束されてゆく感覚に流されてゆく。 それは薄い粘膜から伝わる石榴の熱さが沙羅の僅かの理性の咎を外してしまう事を意味していた。

 味わうようだった腰の動きは次第にスピードを増し、荒い息とともにするどく石榴の襞の奥に楔を穿つ。細かく、時には力強く。絶頂まできていた石榴の熱を根元で拘束し、さらにスピードをあげた。

 「あぁぁぁぁぁ〜〜〜〜」

 コンマ3秒くらいの早さで抜き差しされるそれに、石榴はついてゆけなくて、 正常位で穿たれる為、空を舞う足首は痙攣するように踊っていた。

 「さ、沙羅……もう」

 石榴は拘束する沙羅の指をなんとかはずして自らの快楽の波を解放されたがった。 沙羅は最後に何度か強く石榴の腰に自らを打ち込むと痙攣して果てた。

 石榴は自らの中に熱い飛沫が爆発して襞や敏感な場所に打ち込まれるのを感じ、快感のあまり打ち震える。 拘束を失った石榴の熱もまた、沙羅の掌に快感の証をぶちまけていた。

 その瞬間、石榴の中は強く収縮し力を失いかけた、沙羅を締め付ける。

 「石榴、このままだと、この閉息した時間の中でこのまま発酵してしまいそうだ」

 光の珠がゆっくりとシャボンが消えるように溶けてゆく。 いったい何時間、二人は愛しあったのだろう。それでも最後の締め付けで沙羅は再び力を取り戻していた。

 「も、放せ……」

 石榴が沙羅の両肩を力無く押した。

 「たしかに貴方が止めてくれないと、このまま命が無くなるまで繋がっていそうです」

 石榴の両目に浮かぶ涙をそっと口で吸い取りながら、沙羅はまだ石榴を解放しようとはしなかった。

 「無理をさせてしまいましたね、今生の別れという訳でもないのに」

 優しく微笑んだ沙羅の顔を見ながら、沙羅だけが特殊な魔法がつかえるというだけで 子供の時から運命に翻弄され続けてきた沙羅だけが石榴の気持ちを理解してくれるのだと 今までの自分の積り積った憎しみやいらだちが氷解してゆくのを感じた。

 沙羅……お前だけを愛している。そう心の中で呟いた時、沙羅も答えた。

 「石榴、私も貴方だけを愛している。もし、私達の命が生き長らえる事があるなら、 私は必ず貴方を妻として迎えましょう」

 石榴は照れくさそうに顔を背けたが、沙羅の優しい瞳に小さくそっと頷いた。

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