|
Now I'm here 35 |
|
もともと政に関心の無かった真珠国の王、花珠はますます魔法にのめり込み 代わって后である黒曜が殆どの実権を握っているのは周知の事実になっていく。 二人が出会い、少なからぬもめ事で、多くのしきたりが変わった。 皇太子と皇子が見分けがつくように髪型を変え、挨拶の仕方も徹底的に仕込まれ出会いも元服式に制限された。それは両性具有の世界にある面逆行するしきたりであったが、争いを最も苦手とする 藍の大地の人々はそれに従った。 つまり長老達は真珠国はまだ火種を抱えていると思っているのだ。 それは強ち間違っているとは言えないが、たしかに過去の憎悪に取付かれている黒曜に比べて 花珠に限って言えば厳密にいえばそれだけではない。 真珠も微かに気がついている事実。 多分、『藍の大地』では花珠、真珠、瀧海、石榴そして私だけが気がついているこの世界の終焉。 花珠は自分の持てる限りの力でなんとかしようとしてるのだ。 つまり彼がこの世の終焉に気がついてからは最も恋や愛に遠くなっている者といえる。 花珠はそれが自分の使命だと悲しいほどに信じているからだ。 この世の終焉とは具体的にいえば、惑星の衝突だった。 この世界を粉々にしてしまえるほどの惑星がこの双児星に向っているのだ。 無論、『紅の大地』も巨大な宇宙船や爆弾つきミサイルを使ってなんとか軌道を修正しようとし 厳密にいえばその一部は成功した。『紅の大地』に激突した惑星が『藍の大地』に激突し、 『紅の大地』だけになってしまうというものだった。 つまり『紅の大地』はすでに自分の星が安泰だからさほど深刻になっていない。 しかし、紅と藍の大地は二つで一つだったのだ。 一つだけになってしまって弊害がないはずがない。 私には見える。結果紅の大地も滅び去っていくゆく姿が。 多分、石榴が『紅の大地』のライラやルーパスを拉致し時間魔法にかけ、そして 二人を立ち上がれないほどに傷つけたのは、石榴達が自分達は『紅の大地』の者であると 思っていたのに『紅の大地』の人々に見捨てられたと思った復讐だろう。 真珠と私を拉致したのは我等の巨大な魔法を恐れたからだ。真珠を捕まえれば瀧海が 手も足も出ないのを石榴は知っている。
そこまで静かに聞いていたルーパスが堪らなくなって沙羅を遮った。 「この世界が無くなるか否かという緊急事態に個人の恨みなど言ってる場合ではないだろう?いったいその世界の終焉というのはいつ来るんだ?」 「2年後には来ます。来年になればその星は肉眼でも確認できるようになるでしょう」 「紅の科学と藍の魔法を組み合わせてなんとかならないのか?」 ルーパスは沙羅に詰め寄った。そのルーパスの手首を真珠が掴んで首を横に振った。 「紅に危機感が無い限り協力は仰げないでしょう?だからこそ石榴や花珠さまが必死になってエネルギーを貯えているのです」 「貯えてどうする?」 「軌道修正させるつもりでしょう。もしかしたら花珠さまはなにかとてつもないご覚悟があるのかもしれません。もともと両性具有種の寿命は長くて50年。花珠さまはもう26才になられている。私の勘がはずれているといいのですが……」 |
