僕はここにいる

Now I'm here 32



 真珠とルーパスは用心して最初にいた場所に戻ってから小声で話し続けていた。 とにかく、二人がここに一緒にいる間にある程度の計画を決めなければならない。 いつ、別々に隔離されるのか分からないのだから。

 少しすると沙羅が少し疲れた様子で戻ってきた。自分のベッドに入ると倒れるように 横たわる。

 「大丈夫?酷くされたのか?」

 ルーパスが気の毒そうに様子を伺う。

 「心配ありがとう、ルーパス。僕には恋人がいませんから何をされたってどうということはありません。 それに僕をこういう姿にしたのは彼なんです。 さすがに僅かでも良心が残っているらしく何も酷い事などされませんでした」

 真珠はほっとして囁いた。

 「沙羅がもし望むなら、元の男の子の身体に戻す事ができるかもしれない」 ルーパスは驚いて真珠を見つめる。

 「僅かでもその芽が残っていれば、再生させることは不可能じゃないんだ。 ただし、相当の痛みとエネルギーを使うけれど」

 「お気持ちは嬉しいけれど、今は諦めています。なぜならここに捕らえられている限り、また切り落とされる 可能性はある。彼は僕に子孫を残して欲しくないのです。それは僕が紫魔法を使えるからなのです」

 そういうと沙羅は深いため息をついた。

 「真珠様もルーパスもこうなった経緯は御存じないでしょう? もし、よかったら寝物語にでも僕の話を聞いていただけませんか?」

 ルーパスと真珠は顔を見合わせた。勿論話は聞きたかったが、この状態の沙羅に話をさせていいものか 悩んでいた。

 「このまま、僕らがこの部屋でいつまでも一緒にいられる保証はどこにもない。 僕は巻き込まれたあなた達に、話しておきたいのです」

 沙羅の強い意思を聞いて二人は何も言えなくなった。

 沙羅は静かに語りだした。

 ※ ※ ※

 二つの星には、最初一種類の人類しか住んでいなかった。
それは男女単体で両性を持っているものというのは、ごくごく稀であった。
人が増えるにつけ、諍いが起こりだし大きな戦へと変貌していく。
偉大な指導者『予言者』が一部の人々を連れてもう一つの星へと移住した。
そこは恵まれた自然のある藍の大地とよばれる場所だった。
僅かな近親者で交わっている内、ある人々が生まれてきた。
新世代と呼ばれる魔導師達だった。最初は軽いものを微かに動かしたり
隠したものや探し物を見つける程度の能力だった彼等も世代交代を
繰り返すうち、白魔導師、黒魔導師などさまざまなタイプが現れた。
そして未分化の性を持つ者が多く生まれるようになる。
そして彼等こそが、多大な魔力を持ってより細分化されていった。
それが、真珠の祖先と呼ばれる人達だ。
彼等は平和を好み、芸術を好み、美を好み、そして自然を愛した。

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