僕はここにいる

Now I'm here 31



 瞳に何も映していないルーパスに真珠は少しずつエナジーを注ぎ込み ながら白魔法を唱えてゆく。 一度瞳を閉じたルーパスが、かっと瞳を見開いた。

 「ルーパスまだ、じっとして」

 ルーパスの瞳の上にそっと掌を置くとやさしく髪を撫でる。

 「……し、真珠なのか……」

 「そうだよ。僕も運良くルーパスと一緒のここに来れた。もう大丈夫。だから僕がいるからね。きっと助けてあげる」

 しかし、ルーパスは悲しい瞳で天井を見つめている。

 「もう、だめだよ。俺……アイツの前で……」

 そういうと両方の瞳がどんどん潤んでゆく。

 「ルーパス……ダメなもんか、そんな事いっちゃだめだ。実はライラも心を壊してしまってるんだよ。 ライラを助けなくないの?ルーパスがしっかりしないといけないよ。僕もついてる」

 ルーパスは両手を組むと額に押し付けた。

 「ライラ……ライラはいまどこなんだ?」

 「紅に帰ってる、でも記憶を取り戻せないでいるらしい」

 不安そうに真珠をみつめるルーパスを真珠は眼に力を込めて見つめ返す。

 「僕らが知り合いだとはまだ石榴は気が付いていないらしい、ルーパスはぎりぎりまで気を失ってる振りをして、決して石榴を刺激しないで、今、沙羅が石榴の部屋に行ってるから」

 「沙羅もか」思わずルーパスは嫌だといわんばかりに首を振り続ける。

 真珠がそんなルーパスの肩を力強く掴むと見つめあい、ふたりは何かを決心したようにそっと頷きあった。

 その頃、石榴の部屋では沙羅と石榴が盃を交わしていた。 シンプルながら贅沢に作られている趣味の良い部屋だ。こんな部屋に住む美少年である 石榴がなぜ、あんなにも残酷なのか沙羅には理解不能だった。 目の前で石榴の恐ろしい振るまいを何度も目にしながら、心のどこかで それが、本当の石榴ではないと思いたい。そんな自分でも理解しがたい気持ちに囚われていた。

 最も憎むべき相手であるというのに。祖国にとっても、自分にとっても。 そんな自分の気持ちに整理をつけようと沙羅は微かに微笑んだ。 沙羅の落ち着きに比べて石榴はそわそわと落ち着かない。

 「行きましょうか」

 沙羅の方から声をかける。

 「……」

 戸惑って睨む石榴に優しく微笑んで手を引いてベッドへと誘う。

 「気が削がれた」

 石榴がそういって引かれた手を離した。

 「僕では、石榴様のおもちゃにもなりませんか?」

 沙羅がじっときつい瞳で見つめ返す。

 「そんな事は言ってない」

 黙って石榴は下唇を噛んだ。

 「僕の男を切り落としたあなただ。その後の僕の姿を確認する義務があなたにはある」

 石榴は顔を背けた。

 「義務などない。だが、お前がそういうなら見ない事もない」

 ゆっくりと沙羅が僅かな下着のような衣装を取り去った。 少年のようなそこには切り落とされた痕すら確認できないほど、美しい身体だった。 白く息ずく身体は眩しい程の滑らかさで、沙羅は躊躇する石榴の指を掴むと 彼の男自身があった場所に導く。

 石榴の頬を両手で挟むようにすると、沙羅は自分から唇を寄せた。 石榴は深いため息とつくと貪るように沙羅の唇を蹂躙しはじめた。 二人はまるで愛しあう恋人達のようにお互いを飽きるまで貪りあっていた。

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