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Now I'm here 21 |
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「なあ、タキミって真珠に優しくしてくれるのか?」 見た事もない様々な計器を不思議そうに真珠が触れていると後ろからルーパスが声をかける。 「どうでしょう?よくわかりません。女性には親切なんだと思いますよ」 機械に興味津々の真珠はお座なりにルーパスの質問に答えていた。 ルーパスがそっと真珠の肩に唇を寄せる。真珠がぴっとルーパスの頬を指で弾いて押し退けた。 「ル−パス!!!」 ライラがむっとした顔で睨んでいる。 「いいかげんにしないか。真珠は嫌がっているのが解らないのか?」 「ついさ、だってめちゃくちゃ可愛いいじゃないか。肌だってすべすべっ」 ルーパスは悪びれずに肩を竦めて両手をあげる。 その子供っぽい仕種に真珠は、緊張していた気持ちが和んだ。 同年代の少年達とこんな戯れあいをするのは始めての経験で照れくさいような不思議な感覚だった。 しかし、紳士なライラにはそんなルーパスが耐えられないらしい。 ルーパスの腕を掴むと奥の部屋へ消えた。なかなか戻って来ない二人にルーパスが説教でもされているのかと真珠がそっと覗くと なんとルーパスはライラの下に組み敷かれて甘い喘ぎ声をあげている。真珠は思わず息を飲んだ 『あの二人って……そうだったんだ』 それから一気に真珠の頬が薔薇色に染まる。 慌ててその場を離れ窓側に駆け寄って空を眺めて気持ちをおちつけようとした。しかし胸の奥が飛び出さんばかりに暴れまくっている。 なんとか落ち着かねばと肩を上げ下げして深呼吸した。 息を整えている真珠の肩にそっと手が置かれて真珠は飛び上がらんばかりに驚いた。振り向くとライラが照れくさそうに微笑んでいる。 「真珠、ごめんね、驚かせて」 「い……いいんです」 上ずって声がひっくり返っているのが解ってますますパニックを起しそうになる。 「真珠って子供まで産んでるのに以外とウブなんだね。ちょっとお仕置きしてたのさ。ルーパスは眠っているよ」 小首を傾げたライラは先程より大人っぽく見えた。 「ごめんなさい、覗くつもりじゃなかったんだけど」 「気にするな。真珠がいるのにせっぱつまった僕がわるいんだから。実は僕達、ルーパスが来たいっていうから『藍の大地』にもやってきたんだ。紅と違って『藍の大地』は真珠みたいな綺麗な子ばかりだとルーパスは舞い上がってるけど、僕にしたら複雑さ。駆け落ちくらいの覚悟で紅の大地を後ににしたのにね……」 いきなりこんな話をしてくるライラの真意を真珠は測りかねて戸惑う。 「お二人は恋人同志だったんですか?」 俯いたライラは真珠からみても艶っぽくてドキッとする。 「紅には女の子もあまり綺麗な子がいないんだ。ル−パスは綺麗な子が好きなんだ」 「ライラって確かにきれいだね」 真珠はにこっと笑った。 「僕はルーパスがたとえ 綺麗じゃなくたってルーパスが好きなんだけど ルーパスは違う」 「どう違うの?」 「僕が紅の大地の中で一番きれいだから好きなんだって」 「そんな風に言われるのってうらやましいくらいだけど?もしかして惚気?」 「藍の大地には僕の何万倍も綺麗な女性達がいっぱいだもの。ル−パスはもう、僕なんて 眼に入ってないよ、男だし」 「そうかな……」 真珠にしてみると立場上違うともそうだとも無責任な事はいえない。 でもどうみても二人は相思相愛にしか見えなかった。 「ルーパスは真珠の事が好きみたいだ」 ライラが苦しそうに窓の外を見遣りながら吐き出すように言った。 「でも、僕には瀧海がいる」 真珠はライラの横顔を覗き込むように見つめる。 「瀧海がたとえ真珠から心が離れても?」 窓から真珠に視線を移すとライラが今度は真珠の瞳をじっと見つめている。 「ライラだってルーパスの心が離れても彼が好きなんじゃないの?ライラなら僕の気持ちが解ってくれるのかと思っていたけど?」 真珠が悪戯っぽく微笑みながらそういうと二人は顔を見合わせてさも可笑しそうに笑った。 それから船の運転を自動操縦にすると二人は肩を寄せあい、ソファに腰掛け浅い眠りに誘い込まれていった。
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