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5万HIT記念7 |
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水上は上月湊の住んでいたマンションやゲイバーのすべてを清算するように部下に命じた。 その時始めて上月が相田湊に変わっていた事を知った。 そこで改めて知らされたのは、湊の几帳面な生活だった。仕事柄乱れた生活をしてもおかしくないのに、 無遅刻無欠勤。マンションなどの支払いや管理費なども期日までにきちんと支払われていた。 仕事仲間でも評判は悪くなかった。 これほどきちんとしているなら、もっと他に真っ当な職場がいくらでもありそうだが なぜ、湊はゲイバーでニューハーフとして働く道を選んだのだろうか。 常連客にも身持ちが固すぎる事を除いて評判は悪くなかった。 いったい湊は何を考えてこの先のない道を選んだのだろう? 自ら崩壊の道へと落ちていこうとしているかのようだ。 いったい何が彼をそこまで絶望へと追い込んだのだろう。 自分への恨みだけがそこまでのエネルギーを生み出したとは思えなかった。 マンションに帰ると湊はガウンのまま頬つえをついて外を眺めていた。 水上が帰って来た事に気がついていたようだがどうでもいいようだ。 その様子はまるですべてを諦めたかのような投げやりな雰囲気を漂わせている。 「お帰り、食事はして来た?」 もう7時だったが水上はまだ夕食を取っていなかった。 「何か食べに行くか?」 「僕なら……いい」 もちろん、朝と昼は湊の為にデリバリーサービスを頼んであった。 ベットサイドテーブルをみると殆ど手をつけていない。 「俺の金で買った物なんかは食いたくないか……」 水上はぽつりと呟いた。 「そんな事関係ない、食欲がないだけだ。僕はもう過去を振り返ったりしていないし、お金も仕事も何も望んでないんだ。まして結婚の約束をやめるなんて勘弁してよ」 「それはお前とは関係ない」 「関係あるだろ?服を取りにきたよ。綺麗で感じのいいお嬢さんじゃないか」 「黙れ」 「僕の事は終わった事だ。だけど彼女は違う。水上、君はまた新たに他の人を不幸にしようとしてるんだ」 「黙れっていってるんだ」 「黙らない。平穏に暮らして来たのに僕だってまた、生活をかき回されてるんだ」 水上は湊の肩口を掴むと無理に引き寄せて唇で口を塞いだ。 |
