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123456HITSキリリク11(コンコンさまリクエスト) |
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スタジオに毎日遊びに来るケーコを見て正直言って浩輔は認めたくなかったが彼女の才能はたいしたものだと舌を巻く。 語学は言うまでもなく美術的なセンスや、人の心を掴む心理学系にも造詣が深く、彼女の助言は的確だった。 ケーコが湊目当てに出入りしているのは解りきっていたのだが、ケーコのあまりに的をえた意見を無碍にもできなくて結局追い返す事もできないのだ。 今回の新しいプロモはより芸術性の高いものだった。 色の複雑なパステルカラーのテーブルクロスの上に色とりどりの果物がのったできたてのタルトが 所せましと並び中性的な天使の姿の湊がクリームをデコレーションしているシーン。 ちょうどそのシーンに浩輔は悩んでいたのだがそれさえケーコのアイディアでよりあか抜けたものにどんどん変化いた。 あまつさえ、クライアントが希望していた以上の物ができあがってゆく。 ケーコがきてから間違いなく浩輔の作るプロモーションビデオは格段に質があがっているのを 認めない訳にいかない。 それだけに、浩輔が楽しみにしている休憩時間にさえ湊とケーコが親しげに話してるのが浩輔は気になって仕方ない。 湊が目を細めて本当に嬉しそうに笑っている姿は明らかにケーコに心を開きリラックスしている。自分といる時の湊はどこか緊張しあんなに無防備な表情など見せた事はなかったのではないか。 なぜ、ケーコなのか?浩輔は複雑な気持ちを通り越して胃液が上がってくるように不愉快だった。 二人の様子を睨むように見とがめる浩輔の視線を湊が少し心配してるような恐れているような複雑な瞳で見上げることがますます浩輔を苛立たせる。 湊に接触障害が残っているとはいっても、ケーコに心を許しているのか ケーコが湊の髪に触れ、セットを直してても湊は何も言わなかった。 「何か怒ってる?」 不安そうに湊が浩輔に近付いてコーヒーを渡す。 「別に……」 撮ったビデオの編集する手を休めないまま浩輔の声は冷たく尖っていた。 「ケーコがお前の世話をした方が仕事がうまく行くしな」 「そうかも、ケーコってすごい人だね」 浩輔の皮肉も湊には伝わらなかった。 「今日はケーコと一緒に先に帰っていいよ。俺は遅くなるから」 その一言に湊はがくっと肩を落として、俯いた。 「じゃあ部屋で待ってる。身体を壊さない程度に頑張って……」 そういってケーコと立ち去る湊の後ろ姿を浩輔はちらっと見遣ると深くため息をつく。 優しく気遣う湊の心遣いに浩輔の胸はほわっと暖かく潤いながらも、ついつい自分は男だからといういじけた思いが胸を深くえぐる。 こんな嫉妬深い恋人より湊には可愛くてしっかり者の姉さんタイプの女性が向いてるのかもしれない。 多分、湊の為にはそうなのだ。 しかしながら浩輔はそれを自分の理性では認められたとしても感情がそれを許すはずもなかった。 ケーコどころかたとえ、ベランダにやってくる鳩にさえ湊を見せずに監禁し、自分だけのものにしたいという強い衝動をどうやって押さえるのか頭が痛かった。 今頃、湊はケーコと何を話しているのだろう。自分がいない事で湊が安心し楽しそうにケーコと笑いあっているのではないか?そう思うとやはりこんな気持ちのままで仕事など手につくはずもなく 浩輔が立上がった時、誰もいないはずのスタジオの隅に人陰が見えた。 それは壁にもたれてじっとこちらを見据えるロバートだった。 「誰の許可で入ってきた?ここはまだ俺が貸し切ってるはずだ」 「残念ながら、予約はダブルブッキングだったようだな、俺も正式に借りてるよ。その場合アングロサクソンでプロテスタントの 俺達が優先なのさ」 いつもの浩輔の機嫌を取るようなロバートはそこにはいなかった。 「日本から連れてきた可愛い恋人ごとお前を俺のモノにすることも簡単なんだ」 浩輔はロバートに対抗するように立上がって睨み付ける。 「怒った顔もそそられる。好かれようなんて、面倒な手順をふまずに最初から無理矢理俺のモノにしておけばよかった。お前だって嫌がるあの綺麗な美少年に好き勝手してるようだしな」 浩輔の全身から急速に血の気が引いていった。 |
