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5万HIT記念2 |
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空気清浄器のモーター音で眼がさめる。上月は、瞳だけであたりを見回し、どうやらここが寝室だと半覚醒の頭で理解した。この寝室は20帖ほどあるだろうか?部屋はシンプルだが豪奢な作りで調度品も一流だ。 上月は着衣のままで寝かされていた。 「気がついたか?乱暴してすまなかったな」 「あんたがそんな事を言えるまともな神経を持っていたなんて知らなかったわ」 「ずっと上月を捜していたんだ」 上月は鼻で笑ってみせる。 「ただで性欲処理をしようっていったってそうはいかないわ。 それにあんた、おかまの私でよく勃つわね。ホモなんじゃないの?」 「そういう意味じゃない。ずっと後悔していて……あやまってすむことじゃないけど、 なんとか少しでも償いたいんだ」 水上の言葉は真摯に響いた。だが、上月は大きな瞳を睨むように水上に向ける。 「それで過去を精算しようっていうの?バカにしないで。あんた達を訴えるつもりなんてないから」 「でも、そうやって今でも男に……その……」 言い淀みながらも、聞かずにはいられない強い口調だった。 「バカじゃないの?自惚れないでよ。あんた達のせいで私の人生が変わったとでも思ってるわけ? あんなのただのきっかけよ。私には素質があったのよ。それが開花したの。 感謝はしてないけどあんた達のことなんて思い出しもしなかったわ」 それは嘘だった。 もしそうなら水上に出会ったくらいで逃げ出したりしない。 忘れた事などなかった。忘れられるわけなどない。 あの日から上月の人生は狂ってしまったのだから。 同じ進学校に通いながら片方は結婚間近のエリートサラリーマン、そして自分はニュ−ハーフ。 まともな人間扱いされたことなど、ここ暫くなかった。
ふと上月が気付いた時には、なぜか水上を含めた柄の良くない3人組と上月湊(こうづきみなと)しかクラスに残っていなかった。嫌な予感に逃げ出そうとするところを乱暴に捕まれた上 二人に押さえ付けられ、水上に制服を剥かれてあっという間に全裸にされた。 面白がってビデオを廻し、無理矢理のキス。 あまりの恐怖に叫び声すらでない。 震える上月の両足は、蛙のようにみじめに固定され、フラッシュをたきながら何枚もカメラで写された。 必死に叫んだがその度に口も聞けなくなる程殴られて終いには……。 「こいつ、半勃ちだぜ、感じてんじゃないの?」 「すげえ、こいつ剃ってないのに無毛だぜ。どきどきしてきた」 そうして水上の男をいきなり後ろに受け入れさせられたのだ。 想像を絶する激痛のあまり絶叫したが、血に飢えた狼のような水上は途中で行為をやめなかった。 噎せ返る血の匂い。男達の囃子声。気を失い、気がついた時はぐちゃぐちゃの状態で床に転がされていた。 泣きながらやっとの思いで家に帰りついたとたん、気を失い、何日も高熱を出して寝込む羽目になった。その数日後、なぜか水上がひとりで迎えに来たのだ。絶対会いたくなかったのに、母親は見舞いに来たクラスメートと勘違いして湊の部屋に入れてしまった。 絶対いかないとごねる上月に水上が耳許で囁く。 「湊、例の写真、可愛く出来上がってるぜ。親に見せたらなんていうかな」 それから、一ヶ月あまり、絶望しながら毎日のように蹂躙される日々。 しかし、せっかくの我慢も水上に上月を独占された仲間が嫉妬して、自宅に強姦された時に撮られた写真が 束になって送られてきた。 父親は激怒し、母親の躾が悪いとついに両親が離婚してあの街を離れた。 あれから一度だってあの街に帰っていない。大学も結局いけなかった。 だからいまは上月じゃなくて相田(あいだ)湊だ。 もちろん、そんな事を水上に教えてやる義理はない。 そして、母親が始めた喫茶店の借金でここまで落ちてきた自分。 こいつには……水上だけには今の自分を同情なんかされたくなかった。
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