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123456HITSキリリク9(コンコンさまリクエスト) |
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湊は後ろ手に両手を拘束されて、屋敷の奥の部屋に連れてこられた。 恐怖に震えながら、湊は小声でケーコに哀願するように見つめる。 「どうしてこんな事をするんですか?ロバートさんは、浩輔の友達じゃないんですか?」 「ごめんなさい。私は只の通訳だから、何も知らないのよ」 昔の記憶が蘇り震えが止まらない。 「そんなに乱暴な事はしないと思うわ」 ケーコが気の毒そうに湊に触れようとした瞬間、湊は飛び跳ねるようにその手を避けた。 「触るな……僕にさ、さわる……な」 痙攣するように激しく震えているケーコは気の毒そうに湊をみつめた。 「まさか……?誰かに暴力受けたりしてる?」 「触られるのが い、嫌なだけだ……」 「あなたのその様子は触られるのが嫌なだけなんて可愛い段階は過ぎてるようね?同居してる男に何かされてる?」 湊はびくっとして「ち、違う」と言ったがケーコは完全に疑いの目で見ている。 ロバートが後から部屋に入ってくるとケーコは何か早口でロバートに告げた。二人は早口でなにか言い合っている。そのうちロバートの瞳が剣呑なものから、同情を含むそれへと変化していった。 「コースケ、いっしょ、住む、悪いです」 ロバートが拙いながらも優しく言った。 「やっぱり、僕は浩輔に迷惑をかけてる?」 「そんなの、私が知るわけないわ。貴方は私の事を知ってる?知らないでしょう? 私の旦那はベトナム戦争で死んだのよ」 「え?」 何と言って良いか解らず湊は戸惑った。そんな湊をケーコは冷たい目で見る。 「あなた、ばかじゃない?ベトナム戦争って何年前だと思ってるの?私も貴方も生まれてないわ」 「酷いな……」 「全く甘過ぎるわ、ここは日本じゃないのよ。人の言う事鵜呑みにしたり、女連れだからって、 知らない人の車に乗ったり、小さい子供でももう少し、自分を守る術を知ってるわ。 それで接触障害なんて笑わせるわね?」 「……」 いちいちあたってる気がして湊は項垂れた。 「ばかね。また、私の言う事を信じるのね?自分の目で見て自分で確認する。そして その判断には自分で責任をとるの。それが大人よ」 それでもケーコの瞳は柔らかく変化する。 「でも、どうしてかしら、女ってもっとばかね。 貴方のような人に庇護欲をそそられてしまうの。母性本能っていうやつかしら」 湊がケーコを見つめるとケーコは優しく微笑んだ。 ケーコの事が嫌いじゃないなと湊は思った。こんな事をいうとケーコに怒られそうだから とても言えそうにないけれど。それでもケーコには、自分の本当の気持ちが言えそうだった。 「自立したいと思ってるんだ」 「それは、いいことだわ。ロバートとの利害も一致するしね。まぁ、これはあなたにはどうでも いいことだけど」 「まず、僕はどうしたらいいんだろう?」 「そうね。少しずつ、自分の世界を増やしていくのよ。彼の篭の中の小鳥じゃいけないわ。 いくら恋人だって接触障害をおこすほどのハードなセックスにも問題あるし」 「彼が悪い訳じゃない……」 「本当に彼は関係ない?今朝のはただのSMプレイなの?」 湊は真っ赤になった。なぜ、そんな個人的な事まで知っているのだろう。 「なんでそんな事……」 「覚えておいて。ここでは、力を持つ者が金も情報も牛耳っているのよ。それはともかく、 全く彼に関係ないわけでもないようね。私の目から見ても浩輔は魅力的よ。 男としても起業家にしてもね。日本人離れしてるわ」 「日本人離れ?」ケーコは浩輔の事を知ってるらしい。 「そうよ、彼は勿論、自分を磨く事に時間もかけてるけど無駄な事はしないわ。 例えば、英語力にしても、理解する力はあるけど、表現する力はまだまだなの。 でも彼にとってそんな事はどうでもいいことなのよ。英語を上手に話す部下がいればいいの。 ボスになる人間はすべての能力に長けてる必要なんてないのよ。 よりよい参謀を近くに起き、いろいろな能力のある者を自分に惹き付ければいいのよ。 彼には、その魅力があるし、力もあるし、そしてお金もあるわ。 そして、そうして集まった者達の能力を思う存分に引き出すことに価値を求めるタイプ。 つまり本物の帝王になれる男なのよ」 湊はただ、聞き惚れていた。自分よりももっと奥深く浩輔を知るケーコがうらやましく 輝いて見えた。 「浩輔は貴方を愛してるから、いきなり離れるのは無理でしょうね。だから貴方からすこしずつ 自立する方法を私が教えてもいいわ」 しかし湊はもう、ケーコの話は殆ど耳に入っていなかった。先ほどケーコが言った言葉…… 彼は能力のある者を自分に惹き付け、その能力を存分に引き出す事に価値を求めるという 言葉が妙に引っ掛かっていたのだ。 もしかしたら、いや、もしかしなくても、自分も浩輔にとってただ惹き付けておく価値の者でしかないのではないのかと。 一緒に暮らし、愛してくれるのは自分にモデルとしての能力があり、それが浩輔にとって価値があるからだけではないのかと……。 |
