曇りガラスの向こうに降る雪は2

123456HITSキリリク4(コンコンさまリクエスト)



 

 「もう、飲むな」

 浩輔が怖い声で諭す。湊は小さく呟いた。

 「不安で仕方ない。浩輔だけが頼りなのに……」

 気がつくと湊は寝息を立てていた。

 ついて来ただけでも喜ばなければいけないのに……浩輔はため息をつく。 これから毎日マンションに帰れば湊に会える。それだけでもすごく嬉しいことだ。 だんだん欲張りになる自分をどこまで抑えられるのだろう。

 ふと気配を感じて辺りをみると見るからにゲイという感じのヒゲ面の男が興味津々に二人を見つめている。

 思わず浩輔は急いで湊の顔を男から見えないように隠した。汗がどっと吹き出る。 湊の整った横顔をみながら次第に不安になる浩輔だった。 もしかしたら、日本を離れた事で後悔することになるかもしれない。

 入国手続きは無事に終わり、二人は疲れきってマンハッタンに程近い浩輔の高層マンションに辿り着いた時には何もしたくない状態だった。

 近くのカフェでサンドイッチを買い、取りあえず浩輔はコーヒーを入れる。 湊が浩輔の隣で浩輔の指先をじっと見ていた。

 「何?」

 「覚えて次は自分でできるようにしようと思って……」

 浩輔はにっこり微笑んでキスをした。

 「可愛いな、でも何もやる事ないなんて心配ならしなくていいぞ。 さっそく仕事が入ってるんだ」

 「ほんと?」

 「あぁ、明日にも打ち合わせに行こう。その前に2.3レッスンをしなくちゃね」

 「まさか……?」

 「ご明察……」

 浩輔はそういうとコーヒーはそのままに湊をベッドルームに引っ張り込んだ。

 「まだ、明るいじゃないか……」

 そういう湊を無視したまま、浩輔は優しく湊を撫で上げた。

 冷めたコーヒーを飲みながら、浩輔はパソコンの前で仕事をしている。 傍らのベッドに湊が寝息をたてているのを安心したように横目で見つめ満足そうに微笑む。 湊を自分の手に入れたと信じられた時から、湊の姿を見てるだけで誇らしいような安らかな時が流れて行く。 一度手に入れた幸福をもう、手放したくはない。

 自分だけではなく、いかに湊が快適な生活がここで暮らせるのかできる限り気を配ってやりたかった。 そうしなければ、飛行機で同乗していた輩がわらわらと出て来そうで考えるのも恐ろしい。

 チャイムが鳴ったのでドアの外から覗くと花束を抱えたロバートだった。 まったく、いくら冷たくしても懲りない男だ。しかもなんの因果か同じマンションの同じ階に住んでるのだから始末に悪い。ここに住んでるからには身元のしっかりした金持ちなんだろうが、浩輔にしては 迷惑な話だった。

 「コウ〜開けてよ」

 「嫌だ」

 「花に罪はないじゃない」

 「花なんかいらん。興味もない、邪魔なだけだ」

 浩輔が無視しようと振り返ると湊が不思議そうな顔で立っている。

 「お友だち?」

 そういうと壁にあるキー解除ボタンを無意識に押してしまった。

 「あ……」バカ……浩輔は湊の迂闊さを心の中で責めた。

 勢い良くロバートが入って来てそして湊をみて凍り付くように固まっている。 湊はパジャマのままでしかも、いかにも情事の後というけだるい雰囲気を漂わせていたのだ。

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