曇りガラスの向こうに降る雪は2

123456HITSキリリク1



 湊は最近下を向いて外を歩く事が多くなった。 なぜなら、街中に湊の写真が貼ってあるからだ。 もちろん。指名手配ではない。最近恋人になった浩輔が自分を撮ったCMポスターなのだ。

 はっきりいって、よほど湊の事を知ってる者でなければ、それが湊だと気がつくはずも無いのだが 小心者の湊はついつい顔を下げてしまう。

 「やっぱり行こう」

 恋人は今、アメリカだ。そこは湊にとって全く未知の世界だった。

 『ひとりで来れないなら迎えに行くよ』

 そういった恋人にばかにするなと拒絶したけど、 やっぱり迎えに来てもらえばよかったと今さらながら後悔する。

 性別不詳の少年が右に振り向くとセクシーな男性に左に振り向くと色っぽい女性になる不思議な感覚のCMは暗記するほどテレビで流され雑誌では特集を組むほどだった。 夢の中のような幻想的な映像でありながら、一度見ると忘れられなくなる印象的な雰囲気。 巷の話題になり、そのモデルになってる子は男か女か謎とされ、噂になっているのも 湊を落ち着かせなくした。

 浩輔の話だと、莫大なCM料が振り込まれたらしいが(それが湊本人になのか、会社になのかは 忘れてしまったが)それは、湊にとって少しだけ嬉しい事だった。

 浩輔の役に立てた……そう思うと思わず緩む頬をどうすることもできない。 ちょっと前までは自分が大嫌いだったから、女装もなんとも思わなかったのだけど、今は抵抗感がある。

 浩輔の庇護の元にあるより、男として自立していたいそう思う湊だった。

 マンションに戻ると見なれた靴がある。顔を上げると日焼けした浩輔が笑っていた。

 「待切れなくて、来ちゃったよ。湊がいないと気が散って仕事にならない」

 そういって浩輔は腰を屈めると湊の顎を取ってちゅっと音の鳴る小さなキスをした。

 「お帰り……」

 湊がそういって満面の笑みを浮かべると、浩輔は引っぱりあげるように湊を部屋に入れきつく抱き締める。

 「ごめん、我慢出来ない……いいか?」

 「待って、シャワーだけ浴びるから」

 「じゃ、俺も一緒に入る」

 そういうと照れて暴れる湊を軽々とお姫さまだっこしてシャワールームまで運ぶ浩輔だった。

 湊がシャツのボタンを外そうとすると「湊はこっちな」といって浩輔のボタンに湊の指を導く。 お互いにボタンを外しあいながら、少しずつ指が下腹部に近付いてゆく。

 「ま、待てよ」

 制止する湊の手を優しく握るとそのまま指をからめる。 二人の掌の中に二人の熱い彼等自身を包み込む。

 「ベッドにいこ?」

 浩輔は湊の瞳を覗き込みながら囁く。

 「立てないかも」

 「このまま抱いていくからいい……」

 浩輔の熱い吐息を感じながら湊はそっと眼を閉じた。

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