霞みの煙る山並の(2)-7

ライジング・サンに載ったものを先に読んでね



 「やっぱりお前、俺をバカにしてるだろう?チビだと思ってなめるなよ」

 近藤が悔しそうに睨み付ける。

 「俺が経験が無いってみんなで面白がってるんだろう」

 その一言で勇真の顔色が変わり近藤の顎を掴むときりきりと締め付けた。

 「い、痛いじゃないか……」

 「痛くやってるんだから当然です。あなたが憎い、憎いです」

 「ど、どうして、放せ、放せってば……」

 「先生がバージンだからいけないんですよ……僕が」

 近藤は勇真の言わんとする事が解って真っ青になった。

 「まて、早まるな、こんなところで……」

 「もう、別に嫌われたって構わないですよ。どうせ、先生は可愛い男の子がお好みなんでしょう。 僕じゃ無いんですから」

 勇真はそういうと近藤の唇を貪って下半身に手をのばした。 しだいに近藤は力が入らなくなっていく。

 「頼む、せめてベッドの上にしてくれ。こんな所じゃ惨めすぎる」

 悔しそうに小さく舌を鳴らすとトイレのドアを乱暴に開けて抱えるように近藤の身体を半分持ち上げるように出口にむかった。

 そんな二人の姿を認めてアムロが驚いて取りすがるようについてくる。

 「おい、アラン。待て、待てったら」

 そういって必死に引き止めようとするアムロを邪険に振り解くと「ついてくるな」といって アムロを睨み付ける。その勇真の形相にアムロは腰を抜かしてその場に倒れ込んだ。 そのまま、半分引きずるように、半分持ち上げるように近くのホテルに近藤を連れ込んだ。

 しかし部屋に入ったとたん、勇真は現実に返ったように優しく近藤をソファに降ろす。 その行為に近藤はいったいどういう心境の変化なのかと戸惑う。

 勇真は目頭を右手で押さえると近藤から顔を背けて肩を震わせていた。 その肩の震えを見ているうちになんとも言えない感情が近藤を包む。

 「勇真、俺に経験させてくれるんじゃないのか?」

 勇真は悔しそうに振り返って唇を噛む。 そんな震える肩を近藤はそっと抱き噛んだ唇にそっと唇を重ねた。

 「優しくしてくれよ。痛くしたら即行帰るからな」

 余裕のない勇真なんて初めて見たかもしれない。それはそれですごく愛おしさが襲ってくる。 やっぱりアランだろうが、勇真だろうが名前なんかどうでもいい。 年令も立場もすべてを越えてこの少年が愛おしいのだ。 何を恐れているのか?経験不足がなんだ。一番大切なのは今、一つになりたいという 切実なこの想いとこの沸き上がる欲求だ。

 「来いよ」

 近藤のその一言で勇真も決心したようだった。

 「いいの?」

 先程の強引さが嘘のようだ。

 「お前ならいい、いや、お前だからいいんだ」

 近藤はそっと瞳を閉じる。やってきた初体験は恐れていたようなものではなくて それはそれは甘美なものだった。行為が終わっても勇真は近藤を放そうとしなかった。

 「もう一度いいですか?」

 勇真は少し照れくさそうに耳許で囁く。

 「あぁ、もうバージンじゃなくなったけど、それでいいのなら」

 二人は顔を見合わせてくすくすと笑いあい再び、ゆっくりとひとつに重なりあっていった。


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