霞みの煙る山並の(2)-6

ライジング・サンに載ったものを先に読んでね



 間の悪い事に武田がちょうど近藤を捜してる時だった。

 「近藤さん、こっちこっち」

 武田が大きな声を出す。 勇真の背中が微かに震えるのが近藤にも解った。 多分気が付いたのだろう。しかし、勇真は未成年だ。武田の前で勇真に声をかける事、 それはまさに彼を補導する事を意味していたので、勿論、近藤は声をかけずにその後ろ姿を見送る。 なぜか、胃がきりきりと痛み、心臓を搾り取られるような感覚に陥る。

 「どこに行ったのかと思ったよ。はぐれちゃだめだよ」

 からかうように武田がいうこの台詞を勇真に聞かせたく無い。 勇真だって他の奴とやってきてるのだから、自分がこんなに後ろめたい思いをする事はないのだと 頭では解っていたが、目は勇真の姿を追っていた。

 勇真とその男はさほど遠く無いところに席を取った。近藤が横目で盗み見てると勇真と視線があってしまった。 慌てて、視線を外し気が付かなかった振りをしたが、勇真がこちらに向ってくるのが見えた。 不味い。このままでは武田に見つかってしまう。

 近藤は慌てて席を外すと「ちょっとトイレに」といって席を立った。 勇真は迷わず近藤の方へやってくる。 そのまま洗面台で思いきり後から入ってきた勇真に腕をねじ上げられた。

 「どういうつもりで武田先生といっしょに僕の前に現れるんですか?」

 「たまたま、武田先生に誘われたんだよ」

 いちいちこいつに説明する必要などないと思いながらついつい言い訳めいた事をいってしまう 自分が情けない。

 個室に連れ込まれて思いきりキスしてくる。「よせよ」息だけで拒絶しながら身を捩った。 勇真は自分の方に引き寄せながら下半身を押し付けてきた。なぜ、こんな子供の方が力があるのか? ぐいぐいと無理に壁に背中を押し付けられ痛みと屈辱で思いきり顔を歪めた。

 「僕をからかって面白いですか?」

 「からかってるのはそっちだろ?一緒にいるのは誰だよ?」

 「何言ってるんですか?暗くて解らなかった?知ってるでしょ?アムロですよ。BOY仲間の……。実は彼に呼びだされたんです。俺が『psychomachy』をやめて先生と個人的に会っているんじゃ無いかと疑っているんです。なんでも先生を『psychomachy』で見初めた客が先生のバージンを300万で買わせろと店にナシをつけに来て、金額が金額だから店でも騒いでるらしいんですけど」

 「300万?マネージャーは俺に200万で売らないかって言ってきたぜ?あれはジョークじゃなかったのか?」

 「何を呑気な事をいってるんですか?金額じゃないでしょ?それに第一3割なら良心的ですよ。 普通なら6:4ですからね」

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