|
自分がどういう性癖かというのを自覚するのはいったい何歳くらいからなのだろうか?
僕の片思いしている相手は間違いなく男なのに、少女と見紛うその容姿の故に僕は男が
好きな性癖なのだと今だ自覚できないでいる。
しかも彼と僕との関係といえば、身体はこんなに相性がよくていいのかと思うくらい最高だと思えるのにそれ以外は全く最悪という状態。
実際、寝乱れてるアイツをみていると本当に極楽浄土というものが存在するのかと信じ込めるほど
僕は感極まってしまうのだけれど、いざ事が終わるととたんに喧嘩が始まってしまうのはいったいなぜなのか。いくら考えても答えは出ない。
なんといっても僕の彼は、見た目だけは可憐と言う言葉がぴったりの楚々とした顔だちをしている割に
その言葉使いは、まさにやくざかチンピラかと思うほど最低最悪。しかもその態度さえ脱いだ物はそのあたりに脱ぎ散らかし、熱く愛を交わした事後の余韻の欠片もないという有り様だ。
しかも最近は口を開くと喧嘩になるせいか、事が終わると彼は僕と口も聞かずにそのまま目も合わさずに身支度を始める……シャワーも浴びるのさえ面倒そうだ。だから、また喧嘩を売る羽目になるとわかっていても僕は言わずにいられない。
「泊まっていかないのか」
あ〜ぁそんなに怖い顔で睨み付ける事無いのに。僕らはついさっきまでは同じベッドに入っていた仲じゃないか。
「ひとりでゆっくり寝たいっていつもいってんだろ」
その声は間違いなく不機嫌そうな男のテノール。
「でも、こんな時間にすぐタクシーが掴まるかな?車を出すよ」
「いい…歩いてだって帰れんだよ」
やれやれ、とりつくしまもない。もうすでに身支度を整えて僕のことなど、用なしとばかりに目もあわせようともせずさっさと出ていこうとしている。
「タクシー代ある?」
本当はもっと強く泊まっていけと言いたいのだけれど、また怒るから結局その言葉を飲み込んで……。だってその容姿でこの時間の一人歩きは危険過ぎるから。
「俺は女じゃねぇよ。売春婦でもねぇ。」
彼は吐き捨てるように言い放つと、僕のマンションを飛び出した。
また、やってしまった。どうやらまた、僕は彼の地雷を踏んでしまったんだな。
彼の名前は羽生雄斗。彼の仲間から「ユウ」と呼ばれているらしい。
それなのに僕が「ユウ」と呼んでも返事どころか全く聞こえない振りをする。
思い起せば僕達が出会ったのは、たしか断りきれずに付き合いで参加した他の大学との合コンではなかったか。あの時、互いに自分好みのいい女がいなかったので、こっそりと
2人で抜けてはじまってしまった関係が社会人になったいままで続いているのに。
つまり僕達、はっきり言ってしまうといわゆる身体だけの関係だ。
確かに最初の頃は一緒に食事にいったり、飲みに行った事もあったはずだった。
でも、いったいいつ頃からかその度に喧嘩になるのでもうお互いに誘ったりはしない。
それなのに、不思議とユウは今まで僕のセックスの誘いだけは殆ど断った事がなかったし、
それどころか、時にはユウの方から誘ってくる事すらあった。
|