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ユウは僕のマンション玄関を開けると脇目も振らずに即行で直接ベットルームに向かおうとする。
「今夜は泊まっていくんだから、そんなに焦らなくたって
いいじゃないか。そういえば、すきやきを用意してあるんだ。嫌いじゃないだろ?」
ユウが肉が好きなのはすでに長い付き合いで良く知っている。
僕はなるべく機嫌を損ねないように優しくユウにそういうと肩を抱くようにして
テーブルにつかせた。
それなのにユウはやっぱり不機嫌だった。
「やることやったら帰る。そんなに腹が減ってないんだ」
「そんな…今夜は泊まる約束じゃないか」
「いいか、俺はな。お前と寝ると寝不足になるんだよ。お前はさっさと寝るから
知らないだろうけど」
それは…初耳っていうか、全く気がつかなかった。 だって僕はいつも桃源郷に足を踏み入れたかのように満足して朝までぐっすりだったけど。
「わ、わかった。じゃあ、ユウが寝るまで寝ないよ」
「はぁ?2人で朝まで起きていてどうするんだ?お前だって明日仕事だろ?」
そうなのだ。今日は水曜日まだ、週末まで2日ある。
だけど今日のためなら休んだっていい。
「1日くらい寝なくても大丈夫。絶対寝ないから」
「やることはちゃんとやらせるんだからそれでいいじゃないか。
なんで泊まっていかなくちゃいけないんだ」
(何がやらせるだ....自分だっていつも楽しんでるだろ?セックスの時はユウの方が積極的じゃないか)
僕はそう心の中で毒づいたが黙っていた。
だって、いつもの喧嘩になりそうな雲行きだから。
ここでユウの挑発に乗っちゃダメだ。
「解った。じゃあ、今夜は何もしなくてもいいから泊まっていくな?」
「何もしない?じゃあなんで俺はここに来たんだ?」
あくまでユウは絡む気だ。
「一緒にいたいだけなんだ。そりゃ、することしたいけど
ユウがすぐ帰るっていうなら我慢する」
結局、僕はとことんユウに甘い。知ってるけど惚れた弱味。
ユウは僕をぐっと睨み付けてからなぜか不敵な笑みを浮かべて囁いた。
「そこまでいうなら今夜は俺の好きにさせてくれないか?それなら泊まる」
「いいけど」
(全く、何をいっているんだ。いつもユウの好きにさせてると思うけど。)
また心の中で独り言。お天気やで我が侭なんだから....
僕がユウを盗み見るとユウは先程の不機嫌な顔はどこへやら
見た事もない上機嫌でどんどん肉を喰いだした。
まぁ、ユウの機嫌がいいならなんでもやってやろうじゃないか。
そう決心すると僕もやっと少し安心して。きっともう帰るなんて言わないだろう。
そう思うとやっと食欲も戻ってきて僕もユウに負けない勢いで無邪気に牛肉を頬張った。
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