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予定より幾分早く訪れたユウを食卓に招くと彼は少しだけその香ばしい薫りに頬を緩めた。
「これってパエリア?」
「そうだけど。もしかしてユウはパエリアがあまり好きじゃなかった?」
セッティングしたテーブルにつき、ワインも飲まずにすぐに口に運ぶと僕が見愡れるような愛らしい笑みを浮かべたから、僕はますますドキッとした。
「いや、あんまりこんな本格的なやつは喰った事なかったかな。旨いと思う」
珍しくない?ユウが普通の感想なんかいうなんて。
「魚介類は市場で買ったんだ。サフランも新しいから。ほら香りが違うと思わないか?」
「ん〜〜、たしかに海老がでかいね。」
今日のユウやっぱり変だ。 僕達の間で激しく食い違ってるけど会話が成立してる。喧嘩にならずに俺達が普通に会話してるなんて。
ユウはそのまま大きな瞳で僕をじっと見つめてくる。
そんなにまっすぐに見られたらなんとなく照れて視線をはずしてしまじゃないか。いったい今日のユウはどうなってるんだろう。
僕はたまらなくなって、喧嘩になると分かっていたのにどうしても
棘のように心に突き刺さっていた事を口に出してしまう。
「佐高って高校生と一緒に働いてるんだって?」
「あぁ」
「どんな子?」
「どんな奴って普通だよ。普通……」
さも面倒だといわんばかりにユウが答える。
そして唐突に。
「やろうぜ」
『やろうぜ』…か。
ユウに惚れてる僕に異存なんかあろうはずがないけれど。目的がただそれだけ。でもそれだけじゃ
淋しすぎると思ってるのはどうやら僕だけなんだな?
こんなユウのやる気に僕はどこか居心地の悪さを感じてしまう。
だって僕ら一夜限りの相手じゃないじゃないか。 もう何年も身体を繋げていて僕はここ数年その相手はユウ一人。
ユウもそうであって欲しいと願うのは我が儘なのだろうか?
そんな僕の思惑をよそにベットに入るとユウはいつもに増して積極的だった。
淫らに腰を使い俺をまるで吸い上げるように扱く。
ただの締め付けと違い。僕自身がすべてユウの中に飲み込まれてしまうような気がしてユウの喘ぎに合わせて僕まで喘いでしまう。
飲み過ぎたワインのせいだろうか。 それとも今まで経験した事もないあまりの快感のせいだろうか?
僕は絶頂の直後まるで気を失うように眠りについた。
一緒に寝て欲しい。泊まって欲しいとせめてそれだけでも言いたかったのに。
それなのに、僕の口からは深い快感のためのため息だけが洩れただけだった。
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