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酷使される精神 17 |
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「お前、だれ?」 雄斗は微かに残る記憶の片隅を必死に探し出そうとする。 「覚えてないと思いましたよ。僕が通ったのは2ヶ月だけだったし、ガキだったから」 金髪に染めた、短髪のがたいのいい男を雄斗はまじまじと見つめた。 彼の言葉使いはすでに敬語になっていた。 「あ、あの道場に通っていた朝霧か?中学生だった?」 「思い出していただけましたか?」 にやりと笑ったいたずらっぽい顔は当時の面影を残している。 「おまえ、どういうつもりだよ」 「すいません、俺、先生の事があの頃から好きだった。偶然先生をあのマンションで見かけて 時々、一人で時々そのマンションに先生を見に来てたんです。そんな情けない姿をダチにばれちゃって、好きならなんとかしてやるって収拾がつかなくなったんですよ。形だけでも、俺と一緒にマンションに来てもらえませんか?」 「いやだっていったら?」 「無理に仲良くしてもらうまでっすよ」 そういうと車を急発進させた。 あまりの勢いに雄斗の身体はあちこちぶつけられ、まるで物のように座席からシートの下に転がり落ちた。 「乱暴はしません。ちょっとだけ俺に顔立てさせてください」 充分に乱暴してるじゃないか……雄斗は心の中で苦々しく罵倒する。半分はどうにでもなれと やけくそだった。 マンションにつくとお姫さまだっこでエレベーターを上がる。縛られてるんだから仕方ないが、格好悪いったらない。 あんなに可愛かった中学生が2.3年でこうなってしまうのかと思うと雄斗は心中複雑だった。 雄斗の冷たい瞳と眼が会った朝霧はちゅっと音の鳴るキスをしてくる。 だから、俺は女じゃ無いっていうのに……。半分今の状況を諦めている雄斗はどこか物憂げにため息をした。 「先生、好きだ」 「俺は好きじゃない」 「冷たいな。でもいいや、俺の好きにさせてもらいますから」 こんな事は今までだって初めてではない、その度にいっそこの女顔を傷だらけにしたいような衝動が起こる。 ベッドルームに置かれると雄斗は手足をしばられたまま、芋虫のようにベッドを転がってなんとか この戒めを外そうとやっきになっていた。 昔の雄斗なら一度や2度、今さら何だっていうんだくらいの気持ちがあったろう。でも今はとんでもない、絶対にやられてたまるかという気持ちが強かった。 縛ってあるので安心したのか、なかなか朝霧が帰って来ない時間を利用して雄斗は腕のロープをなんとか 外すことができた。 |