KARATE2

酷使される精神 16



 雄斗が外に出るとマンションの周りが騒然としていた。

 「何を騒いでいるんだ、こんな時間に」

 見回すと見知った顔が2.3人いる。どうやら、高校生相手に揉めているらしい。

 「なんだぁ?随分可愛いのが出てきたな」

 柄の良く無さそうなガタイのいいのが3.4人その取り巻きが3.4人。 多分、相手の高校生は7.8人である。

 「こんな朝早くからうろうろしてるから、変なのにからまれるんだよ」

 雄斗は小声で叱咤した。

 「警察は不味いだろうから、上手く逃げて教頭に電話しろ」

 「知らないよ。教頭の電話なんて」

 「家に帰ったら連絡網があるだろうが……早く」

 生徒達は雄斗のその言葉を合図に、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。 気がついた時には7.8人の高校生達に囲まれていた。 揉めていると言ったのは本当だったが、なぜか彼等の目的は雄斗だったのかもしれない。

 雄斗自身がいくら空手で黒帯を持っていなくても実力的には黒帯である。 じつは、こういう場合を恐れて雄斗は黒帯を取っていなかった。 黒帯をとってしまうと、素手で戦っても刃物を持って戦ったのと同じように 見なされてしまうのだ。 しかし、黒帯を持っていなくても子供相手に空手を使うのは教師として不味い。 こんな子供達を一瞬で倒すのは簡単だ、しかし相手は高校生、こちらは教師である。 問題がありすぎる。かといって峰打ちなど手を抜いた事をすれば、この人数なら かなり不利だ。

 そんな気持ちが複雑に混ざりあって、雄斗は手を出し兼ねていた。 そんな雄斗を質の悪そうな高校生は勘違いしたようだった。

 「大人しく金をよこして、その可愛い身体を自由にさせりゃあ そんなに怖い思いはさせないぜ」

 挑発するように囃し立てる。 雄斗はまだ、迷っていた。彼等に構わず逃げ出そうか、それとも 嫌と言うくらいやってやるか。

 ぐるぐると決心が迷っていた時、後ろから他にも数名が忍び寄ってきた。肩ごしにみると 4.5人はいそうだ。まずい。7.8人ならなんとかなるがそれ以上だと、相当暴れないと収拾がつかない。

 いきなり後ろから拳が雄斗の耳許を掠める。 殆ど同時に後ろ回し蹴りをかましながら、肘で前から来る男の顎を叩き上げると 皆が怯んだ隙に逃げようとした。

 突然、足下を掬われる。 7.8人が一度にタックルをするようにのしかかってくる。 四肢をそれぞれ2人づつに掴まれ、無理矢理顎を上に向かされる。

 こいつがボスなのだろうか?一際難いのいい高校生が面白いおもちゃでも手に入れたかのように 雄斗の顎を左右に動かした。にやりと不敵な笑みを浮かべ、ロープのようなものを使って 腕を縛りだした。

 「教師っていうくらいだから、20才は過ぎてるんだろうが、なかなか 美味しそうな面だな下手な女よりずっといけそう」

 横からその友人らしい男が口を出す。

 「でもこいつ男だろうよ」

 それを聞いてまわりの2.3人の少年達がそう囃し立てる。

 「じゃあ不細工な女と美人な男ならどっちがいい?」

 「そりゃあ、美人な男でしょ」

 子供達の下卑た笑いが雄斗のまわりを纏わリつく。

 「じゃあ、不細工な子供と美人なじじいなら?」

 「おい、だれがじじいだって?」

 雄斗がじじいといった男を睨み付けた。

 「おいおい、こんなに囲まれてるのに、おにいちゃん気が強いなぁ。かえってそそるけどぉ」

 にやにやした、丸顔の男がそうからかうと、先程のリーダー格の少年がそれを制した。

 「たしかに不細工な女よりずっといい。噂以上に可愛いぜ。気の強いのも気に入った」

 そういうと近くに止めてあった車に雄斗を押し込めた。それから雄斗を裏返しにして足も縛り上げた。

 「悪い、足も縛らせてもらう、あんた強そうだから」

 なぜか車にのるとその少年はいきなり態度を変えた。

BACK  WORK TOP NEXT