KARATE2

酷使される精神 8



その日のメニューはピーマンの餡のかかったひき肉詰め。
そして鉄砲汁と茄子の浅漬け。
和食党の雄斗の大好物だった。
雄斗は箸を握ったまま横を向いている
「どうした?食べないの?体調が悪いのかな?」
竜斗は雄斗の額に手を当てた。その手を邪険に振払う。
「食いたくない」
それでも竜斗は雄斗の顔を覗き込んで優しく微笑みかける。
「俺達はお互いに対等だよな。そうだろ?」
「何がいいたんだ?」
「俺だけが御飯作って、洗濯して掃除してるの、解る?」
「俺は家事が苦手なんだよ」
「知ってるよ。だけど自分の事くらい自分でできるだろ?靴をそろえるとか」
「突然何をそんなにつっかかってくるんだ?」
「一緒に暮らしてるんだ、少しは俺に対しても気を使ってくれよ」
部屋の空気が急速に冷たくなってる。
やっと雄斗は竜斗も酷く怒ってるのに気が付いた。
「俺はユウのおふくろでも奥さんでもない。そうだろ」
「まぁな、じゃあなるべく洗濯はコインランドリーでやるから俺のは別にして...」
「そんなこと言ってるんじゃないんだ」
「そういうことじゃないかよ」
久々の喧嘩だった。
いつもはどちらが始めた喧嘩でも退いていた竜斗が今日は一歩も譲らない。
「俺達、もっと会話する時間が必要だよ」
その一言に雄斗はブチッと切れた。
(会話だって?光田とは楽しく話してるみたいだからな。)
「出ていくっ」
「逃げるのか?」
「うるせ〜よ。お前の顔が見たくないだけなんだよ」
「ユウは俺との関係をセックスの事としてしか考えてないのか?」
部屋を出ていく振り向きざまに雄斗が竜斗を睨み付ける。
その大きな瞳には涙が滲んでいる。
いいすぎた。
そう竜斗が思った時はすでに遅かった。
雄斗は殆どシャツとチノパンツだけで外に飛び出した。
慌てて竜斗が追いかけたが、雄斗の姿はどこにもなかった。

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