「おめでとう」
「すげぇな 雄斗」
4LDKの竜斗のマンションに集まったのは自称雄斗の友人達。
それだけでも竜斗は面白く無い。
その上もっと面白く無い事に、雄斗は仕事を変えた事もマンションを解約して勝手に竜斗のマンションに
引っ越してきた事も竜斗には相談無しだった。
(冗談じゃないぞ。ここは俺のマンションだ!第一なんで俺がこいつらの為に料理を作って出さなきゃいけないんだ。) 竜斗はホストも驚く営業スマイルでにこやかに笑いながらも、そんな事を考えていた
その日、今日はお祝と称してなんと雄斗の友人達が7.8人しかもイケメンの男ばかりが集まった。
何のお祝かと言うと就職祝いと恋人と同棲祝いだって全くふざけている。
なにより竜斗が一番気に入らないのは、その中の数人は雄斗と関係があったのでは?と思われるやつらがやってきた事だ。
「雄斗って『オラネコ』だろ?顔は可愛いんだけどなぁ」
「オラネコって何ですか?」
従来から初対面の人にはつい丁寧語で話してしまうのは竜斗の育ちの良さなのだが、
今日に限っていえば竜斗は自分がなんか情けなかった。
「いや、解らないならそれでいいんだ。知らない方がいいことも世の中にはあるって。お前って本当に男は雄斗しか知らないんだな」
佐藤と名乗ったモデル張りの男がにやにやしてイミシンな顔で笑ってる。
光田と名乗った男は雄斗の肩を抱いたり、すれ違い様に竜斗のお尻まで撫で上げたのだ。
普段感情を顔に出さない竜斗も今日は爆発寸前だった。
「みなさん、ごゆっくり。仕事があるので僕は先に休ませてもらいます。
上下のお宅があるのでここで騒ぐのは勘弁してください」
竜斗は雄斗をぐっと上目使いに睨みながら自室にこもった。
本音を言えば雄斗と一緒に暮らせるのは嬉しい。だが反面 どうして就職の事を何も話してくれなかったんだろうという気持ちの方が強かった。
さてそれは数日前に遡る。
雄斗が突然やってきて就職先に近いから同居するといいだしたのだ。
「部屋代なら入れるからさ」
「そんな事より、どうして前の仕事やめちゃったの?空手の指導員だったんだろ?」
「あんなの殆どボランティアみたいなもんさ。今年やっとA採用になって市内の中学に決まったんだ」
「中学って?」
「川向中学だよ。ここから歩いて3分くらいだろ?」
「教員になったの?雄斗が?」
竜斗は絶句した。 こんなインモラルな男が教員なんかになっていいのか?
「悪かったな。大学で教職取ったし、奨学金も教員だと何年か働くと免除されるんだぜ」
「雄斗の専攻ってなんだっけ?」
「数学」
「すうがくぅ???」
似合わない、絶対似合わない.....。
雄斗は理数系の顔じゃ無い。
竜斗は心の中で絶叫した。
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