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ゲラゲラゲラゲラ……。 その名刺をみたとたん、竜斗はソファから転がり落ちて笑い出した。 ユウは引きつった顔をしてそんな竜斗を見下ろしている。 「こ、これ、ユウが自分で作ったの?」 「空手部の奴等も手伝ってくれた」 名刺を持つ手と肩が激しく揺れている。 「そっかぁ、子供は名刺なんてみないもんな」 それでも竜斗はまだ引きつって笑っている。 「何がおかしいんだよ」 雄斗の機嫌はどん底まで落ちている。これ以上笑うのはまずいと竜斗も 頭ではわかっているのだが、どうにもこうにも止まらなかった。 「裏は普通真っ白か英語が多いんだよ…………」 また、おかしさが込上げてきたらしい。 「だって英語ならレイアウトが難しいだろう?学校のパソコンには縦書きのひな書きしか なかったんだよ」 語尾が小さくなった。あまり竜斗が笑うのですでにいじけぎみなのかもしれない。 「だったら、裏面は印刷しなくてよかったのに」 今夜の事を思うとまずいなと必死に込み上げる笑いをおさめようと竜斗が苦虫を噛み潰したように 歪めた。 「便利じゃないか、どっちを出しても恥をかかないぞ」 雄斗はいたって真面目らしい。こんな名刺を本当に使う気なのだろうか? 「学校の先生って普段から名刺使わないの?」 雄斗は少し考えてから、「そういえば教頭先生は持っていたな。外部と名刺交換するような 接触って教頭先生からくらいだもんな」 仕事している世界が違うのだ。笑って悪かったなと竜斗は心の底から思う。 実は今回新しい名刺を自分がもらったのも、名目だけの課長に昇進したからなのだ。 部下は光田ただ、ひとり。 社長の息子である自分を対外的に認めさせるステップアップに使うつもりなのだろう。 この名刺をみたとたん、竜斗は逆に自分の力で課長として認められるようになりたいと 奮起させられた。それも父の思惑どうりなのかもしれないが。 「この会社のロゴとかシンボルマークとかさ、かっこいいよな」 雄斗は竜斗の名刺を見ながらさもうらやましそうに呟いた。シンボルマークがエンボス加工されているのだ。 「……雄斗のこのシンボルもユウにぴったりだよ」 先程まではトラのマークを見て校章じゃくてトラだった事におかしさが込上げたが 案外、雄斗の本性を見抜いてるのかもと感心する。 可愛い子猫だと思ったら実はトラだった。まさにユウはそんな奴だ。 いったい誰なんだろう?トラを選んだ空手部の生徒にちょっとだけ嫉妬する。そうは思いつつ、自分に対抗して名刺を作ってきた雄斗をやっぱり可愛いやつだなと思う竜斗だった。 |