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仲秋の名月

beautiful moon in September2


 一応竜斗は遠慮がちに聞いてみる。

 「ユウはいいの?」

 「何が?」

 「だって、あと2年は……っていっていたじゃないか」

 つまりそれは今年の春、一緒に暮らしはじめたばかりの頃、雄斗に一方的にいいようにされていた 竜斗が雄斗を抱きたいというような事を言う度、雄斗に2年はやらせていたんだから、後2年は俺の好きなようにやるという発言を指していた。

 「別に、俺の好きにやってるけど?」

 といって小首をかしげる。

 たいていの20才以上の野郎がこんな事をしたら、後ろからどついてやるだろうが、雄斗がすると 妙に似合うというか可愛くて抱き締めてあげたくなる。

 『俺は間違いなくどつかれる方だけどさ』竜斗は自分の容姿に今イチ自信がなかった。

 だが、そのすっきりした品の良い顔だち、通った鼻筋、切れ長の優しげな瞳はモデルのように整い、多くの女性を惹き付けずにはおれないだろう。

 「そっか、ならいいけど」

 雄斗の微笑みが少しだけ変化する。

 「もしかして、抱いて欲しいとか?」

 「ちがうよ」

 必死の抗議に雄斗は嬉しそうだ。

 「素直になれよ、竜。今夜は可愛がってやってもいいぜ」

 「お前に可愛がるなんて言われたくない」

 「そうか?遠慮してないか?ならいいけどな」

 『言える訳無いよな。相手が筋骨隆々な男ならいざ知らず、可愛い美少女顔した恋人に それもつい最近まで抱かせろ発言をしたこの俺がそんな事を言える程、心臓に毛がはえちゃいない』

 思わず、ため息が出る。それを見咎めて雄斗がもう一度のしかかってきた。

 「ため息をつくと幸せがひとつ逃げるらしいぜ?」

 「女みたいなこというなよ」

 「どうせ女みたいな顔だしな」

 困った顔で竜斗が雄斗を盗み見ると不敵な顔でにやりと笑う。

 「俺はどっちでもいいけどな」

 「何が?」

 解っていても聞かずにはいられない。

 「お前が、タチがいいのかと思っていたからさ」

 「雄斗はどうなんだ?やっぱりお前も……」

 「そうだなぁ、今まではこだわっていたかもな」

 「いつからこだわらなくなった?」

 「フランスにいってからかな?やっぱり広い世界に出るっていう経験は貴重だな。 頭ではこだわりたくないと思っていても感情がついていかなかったんだけど、 なぜかふっきれたよ」

 ふっきれた?つまり女顔という事にたいしてだろうか?それともどっちが上下になるという 事だろうか?竜斗は聞きたいと思いながらも躊躇していた。


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