思い出を忘れたくて

Get memories out of mind6


 「今度は俺の番だぜ」

 ってことはまさか、その大きなモノを俺の口に?はいんね〜無理!絶対無理! 俺は泣きそうになりながら必死に首を振った。

 「そんな縋るような瞳で見なくても今日はこれで許してやるよ」

 沢田は仕方ないなといわんばかりに苦笑しながら、その立派なモノを俺に向けた。 まさか……と思った瞬間、顔にぴゅっぴゅっと何か生暖かいモノを感じた。 なんか生臭い……良く知ってるあの匂い。もしかして、いやもしかしなくても、 俺は顔射とかいう、AVのおね〜さんがやられたりするアレを 男でありながら経験させられたらしい。うぅぅ〜〜こんな経験したくなかったよ。

 なんで俺な訳?綺麗なおね〜さんか、可愛い女子高生にかけてくれよ。頼むからさ。 脱力してる俺の身体に焦点をあわせるとやつは再び携帯でかしゃかしゃと写真をとった。

 そんなに撮るなよ。肖像権の侵害だぞ……その前にセクハラだぞ!

 「これは証拠写真だな。ほら、さっさと服を着ろよ。もうすぐ5時限目だ」

 沢田はなぜか優しく俺の顔をティッシュで拭き取ると俺に学生服を投げてよこしすっきりした顔で出ていった。

 ちぇっ、沢田ばっかりすっきりしやがって……。じゃない違う違う……。全く気持ち悪いじゃないか。

 一発やられなくてよかったのか悪かったのか、俺には解らなくなっていた。

 自分でも釈然としないけど、俺は沢田に触られて嫌じゃなかった。

 ……っていうより気持ちよかった。

 俺もさっきの事を思い出すと充分今夜のおかずが出来たような ……?……?

 あぁ〜〜っ何を考えてるんだよ俺ってば……。

 欲求不満なのかもしれね〜な。

 沢田ってこういう経験が豊富らしい。

 女以外は冗談じゃねーぞと思っていたけど、 男に触られたって気持ちいいのは、男も女も関係ねーんだ。

 ……ま、まさか……このまま男しかいけない身体になったらどうしよう。

 まさか沢田に責任をとってもらうわけにもいかないし、このまま俺はオカマ街道まっしぐら? いやだ〜〜。それだけはぜってぇ〜ヤダ!

 うぅ〜〜俺だって可愛い女の子と恋愛したい。可愛い女の子とエッチしたりデートしたりエッチしたり……

 あぁ、エッチが目的なら沢田でも気持ちよかったんだよな。はっ!いかん、いかん!また、沢田に話が戻ってる。いや、やっぱり俺は女がいいぞ。女の方がいい、いいはずだ……よな。

 それなのに俺はなぜかあの日から夜のおかずが沢田になってしまった。

 おおおぉぉぉお〜〜〜〜っ。勘弁してくれよ〜〜。完全にそっち方面に足を踏み入れたらしい。 っていうか俺はなぜか目で沢田を追ってる自分に愕然とする。

 正直いってまじに落ち込んでしまった。

 「最近暗いな、古城」

 中学から一緒の東海林がからかい半分で俺に声をかける

 「ちょっと腹具合が悪くてさ」

 つい、俺も御期待にそえる返事を考えてしまう。

 「まじにへンだよ最近のお前……。なんかぼ〜っとしてるしさ」

 そう、実はあれっきり沢田から呼び出しはなかった。 あれはいったいなんだったんだろう?それで俺はあれから時々沢田の姿を捜して 目を泳がせる自分を持て余してる。

 「ただの噂だとは思うけど、古城、お前1組のマドンナの結菜(ゆいな)ちゃんと付き合ってるってほんと?」

 「は?」

 「だよな。ガセにしても変だと思ったよ。美人で頭良くって、その上優しいっていう話だぜ。 お前みたいな地味な男に合う訳ないよな」

 「地味とはなんだ、地味とは!」

 「だっていつも白衣を着て美術室で飽きずにデッサンしてるだろう。グランドからお前の姿が良く見えるぜ」

 そうなのだ。実は最近時々、デッサンしながら、サッカー部の練習をみてしまう自分が怖かった。 俺はまじに沢田を意識してるらしい。

 「時々、テニスしてる結菜ちゃんと窓越しに見つめあってるって噂になってるぜ。 結菜ちゃんてば、たしか1組の沢田と付き合っていたろう?だからこの前呼び出されたんじゃないのか?」

 「結菜ちゃんがまさか……」 俺は真っ赤になっていた。だがよく考えると絶対変だ。俺は沢田との事があるまで窓の外なんて 普段見た記憶なんかなかった。だから結菜ちゃんと目なんか合う訳ないのだった。

 なぜ、そんな噂が出たのか知らなかったが急に身体が冷たくなる。 なぜ?そうだ、結菜ちゃんと沢田が付き合って……と聞いた辺りからだ。

 そうか、そうだったのか、それで沢田は俺にあんな事を……。 写真まで撮られて気持ちよかったなんて考えてる俺って、滅茶苦茶おめでたい。 なぜこんな気持ちになるんだろう。なぜ、こんなに身体が冷たくなるんだろう。

 「おい、古城……しっかりしろ……」

 東海林の声がしだいに遠くになるのを聞きながら、恥ずかしさのあまり この世から消えてしまいたいと思っていた。  

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