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Get memories out of mind3 |
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「古城いるか?」 ……え?俺かよ?…… 沢田は教室の前のドアから堂々と隣のクラスであるB組に入ってきた。 まるで教員であるかのように教壇に立つと、高圧的にぐるりとあたりを見回す。 俺は沢田と目を合わせないようにしようと思ったが、うっかり顔を上げてしまい、ちらっと盗み見ただけなのにばっちり目があってしまう。あぁ、最悪。 「来い!」 沢田は顎をしゃくって入り口を示す。どうやらそれが出ろと言う合図なのは鈍い俺にも分った。 俺は嫌だったが、少なくともこの時まで、沢田は俺の中では助けてくれたそんなに悪くないやつと俺の頭の中で脳内変換されていたので、しぶしぶでも付いていかなくてはならないような気がしていた。 あの携帯写真だって、どこか虫の居所が悪くてからかわれただけなのだと 一人納得して。 あぁ俺ってなんという甘い男だろう。
古い用具室。 こんなところに部屋があったか?と思うような場所。 そこの前に来てドアを開けるなり、沢田は思いきり良く俺の肩を乱暴に掴むと用具室の奥に 押し込めた。 「何するんだよ!」 痛いじゃないか!乱暴な。 「うるせ〜だまってろ」 思いきり良く沢田の張り手が飛ぶ。あまりの勢いに俺は脳震盪を起しそうになった。 口の中が鉄臭い、どうやら口の中を切ったようだ。 ひ、酷い!親にだって殴られた事なんかないのに。 首を振りながらなんとか首を持ち上げようとすると沢田が俺の顎を掴んで、こともあろうか 思いきり俺の唇を奪った。 女の子ともしたことないのに……なんてことしやがるんだ。 俺はファーストキスもしたことないんだぞ! ……ってことは、ま、まさか今のが俺にとっての憧れのファーストキス? うわぉおお〜勘弁してくれよ。 焦る俺をよそに沢田は俺の口から溢れ出る血を舐め取るようにし、唾液をすする。 「なめときゃ直る」 なんてこというんだ。 場所が場所だろ? 舐めたりすんなよ! だけど今まで同性だから、そういう風な目で見た事はなかったが、こうやって間近でみると、沢田ってすごくいい男の部類に入るのではないだろうか? 短く切ってつんつんになった髪型と太い眉、その下の剣呑な瞳が邪悪なものを秘めていると言うのに どこかセクシーで惚れ惚れしてしまう何かがある。女なら見つめられただけで腰砕けになりそうな、男のムンとしたフェロモン。 だがな、当然俺は男だ。残念ながら男にときめいた事も、欲望を感じた事もない。 いくらセクシーアピールがあっても野郎なんかにキスなんて絶対勘弁してほしい。 仮に沢田が、女と見紛うような絶世の美少年っていうなら、俺の得意の脳内変換で美少女だと思う事も不可能じゃないかもしれない。 でも、沢田はどうみても男、しかも男の中でもかなり逞しい部類に入る男だ。 「僕に何か用ですか?」 後で冷静になって思いだせば間抜けだと思うが、パニックになった俺の口から出てきたのはそんな台詞だった。 「一発やらせろ」 「は?」 「抵抗すると怪我するぜ」 そういうと俺の顎を上に向けながら器用に学生服のボタンをはずす。 中にTシャツでも着ていればよかったのだが、着ていたのはYシャツだけで あっという間に上半身は丸裸。筋肉の欠片もない俺はまるで羽を剥かれた にわとりのように情けない。 これは嘘だ。 きっと夢だ。 誰かこれは夢だと言ってくれ。 これは現実じゃない でなければ、どうして立派な一人前の男の俺が、よりにもよって、こんなごつい男に何かされなきゃいけねーんだよ? |