Muse over past memories 9(沢田視点) |
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このままにしておくわけにもいかないので、俺は古城を仕方なく背負って歩き出す。 妙に軽い。意識を失ったら普通重くなるもんだろう? いったいこいつはちゃんと飯を食ってるのか? 背中にあいつの温もりを感じて少しだけ気持ちが暖かくなるのはなぜだろう? こんな事があったら、もう古城がいくらバカだって俺への警戒心は解けないだろう。 つまり今日が最後のチャンスだったかもしれないのだ。俺も甘いよな……。 そろそろ古城のマンションが近い。背中でもぞもぞ動いてるから目が覚めたんだろう。 「目が覚めたか?」 「……」 口なんか聞きたくないか?まぁいいや。もうどうだって……。 古城は身体がだるいのか、そのまま脱力したように力を抜いている。無防備なやつだ。 やれやれこいつはこんな目に遭ってもまだ懲りないんだな……。 マンションの玄関まできて俺は古城を背負ったままチャイムを押す。 出てきた母は酷く狼狽えた様子で俺を招き入れてくれた。俺は古城を母親の指示される場所まで運んでベッドにそっと降ろす。 そのままあいつの母親に一応の挨拶をして帰ろうとした。 なんとあいつの母親も、俺を引き止めてくる。やれやれ無防備な似たもの親子だ 「今日はありがとう。お茶でも入れるわ。座って……名前……なんていったかしら?」 「沢田です。せっかくですが、遅くなると下宿で飯が出なくなりますので帰ります」 「まぁ、沢田君下宿なの?よかったら家で晩御飯食べていったら? 泊まっていってもいいのよ?」 二度と無いと思っていたチャンスが廻ってきたようだ。すわ!リベンジ!か 「じゃあ、そうさせていただきます。お電話お借りします」 軟弱な古城はあの程度で熱が出たらしい。ガキの知恵熱じゃあるまいに、仕方ないやつだ。 なんかこう、保護欲を刺激されるタイプだ。他の女なら母性本能を刺激するんだろうな 俺は古城の母親に尋ねながら身体を拭いたり額にタオルを乗せたりしてやった。 まぁ、チャンスがあったら美味しくいただくためだが…… 母親が部屋を出ていってくれたのでやっと二人になれた、古城の奴、薄目を開けて様子をみている。 なんか目がうつろだ。熱のせいなのかもしれないが、妙に色っぽい。 「軟弱だな……このくらいで熱なんか出すか……」 何か反論してくると思ったのに、あいつは力無く呟いた。 「寒い……」 本当に微かに震えている。手足が冷たい。俺は昔飼っていたハムスターを思い出した。 一晩震えてあっけなく逝ってしまったアイツ。古城……お前はどこも行かないよな? 愛おしいという気持ちが溢れてくる。俺にもこんな感情があったんだな…… 俺はそっと古城のベッドに入り込むとそっとあいつを抱き締めた。 ほんわかと人肌が感じられ古城の冷たかった手足が少しずつ解れてくる。 気が付くと古城は密やかな寝息をたてはじめていた。全く……俺以外にこんなに無防備になるんじゃねーぞ。 俺のアソコは熱く兆しだしたが、それをそっと宥めつつ、俺もゆっくりと眠りに入った。 早朝、古城は赤ん坊みたいな穏やかな顔をして寝息をたてている。 古城の母親が様子を見に来たので俺はそっと古城の額に手をあてる。もう熱は下がったようだ。 俺が大丈夫というように微笑みかけると古城の母親はちょっと悪戯っぽい顔をして俺の目を覗き込んだ。 「ごめんなさい、これから仕事ででなくちゃいけないの。沢田君今日はクラブあるんでしょ?」 なかなかちゃっかりした奴だ。でも俺にとっては好都合だが……。 「いや、大丈夫です。俺、もう少し様子をみてますよ」 古城は不安そうな顔をして俺と母親を見比べている。まったくまだ、乳ばなれしてないのか? 「そう?悪いわね。じゃお願いするわ」 まぁ、母親に取り入っておくのは悪い事じゃ無い。今後の事もあるしな。 俺は満足してゆっくりと頷いた。 |