思い出を忘れたくて(初冬の番外)

Get memories out of mind 2-3


 朝日がやけに眩しくて目が醒めた。 ちっとも寒く無いので変だな?と思ったら、どうやら、窓際にある場所から空気が揺らめいている。

 どうやら沢田の家は集中暖房らしい。それにしてもいくら北海道とはいえ、もう暖房を使ってるなんて 漁師もなかなか儲かるのかな?と思ったのは沢田に内緒にしておこう。

 朝飯もそこそこに面会時間が始まると俺らはさっそく沢田のおじいさんが入院している病院に向った。

 おじいさんは、なかなかの男前で沢田に似てる人だった。沢田も歳をとるとこんな感じになるのかな?

 ま、沢田がおじいさんになる頃には俺だって可愛い嫁さんを貰って幸せになってるはずだ。 否!なってないと困る……このまま沢田の抱き人形として俺の人生が終わるのだけは勘弁して欲しい。

 「充のガールフレンドか?」

 「え?」

 おい!おじいさん!あんた目は節穴か?どこにガールがいるんだよっ!まぁボーイフレンドって言われても嬉しくはねーけど。

 「下宿先の息子さんで、俺の同期なんだ」

 「男か?ほう、女かと思ったぞ。都会の男は軟弱だな」

 ムカッ!こいつ本当に昨日までICUに入っていたのか?沢田の家系はめちゃ口が悪いな。 それでも俺は大人だからさ、一応挨拶しておく。

 「古城拓馬です。沢田君にいつもお世話になって……少しお元気になってよかったです」

 「まぁ、なかよくやってくれ」

 沢田は俺を即して部屋を出た。あまり長くいると疲れるからだろう。

 「やっぱりじいさんも歳をとったな……」

 その声は沢田じゃ無いみたいに力がなかった。俺は思わず沢田の肩に手を置いた。 俺じゃ沢田の力になれないかもしれねーけど、今夜はお前の好きな体位でやってもいいからさ。 俺のできることってそれぐらいだもんな。

 沢田は何か考えるように俯いてそれから少し遠くを見て、俺の手をそっとほろうようにした。

 なんだよ。俺じゃお前を力付ける事もできねーってか?

 考えてみると昨日も求めて来なかった。そういえば一昨日も……まぁ一昨日は旅行の前だから当然だと思っていたけど。

 その前の一昨々日は沢田が求めて来たけど、俺は疲れていたから断ったら珍しくしつこくしてこなかった。

 その時はラッキーと思ったけど今日で3日目?もしかしたら4日目かもしれねー。

 今まで意識なんかしたことなかったけど、こんなに何も無かった日が続いたのは初めてかもしれねー。

 いや、待てよ……それでいいんだ!

 そうだ!それが普通なんだ!

 全く!今までが異常だったんだよっ!

 でもさ、でも、俺は沢田が元気が無さそうだったからちょっと慰めたかっただけなんだ。

 それなのにそんな風にじゃけんにされたらちょっぴり傷付くかも……。

 でも考えてみたら今まで沢田にさんざん邪険にしてきた俺にそんな事をいう権利なんてねーな。 よかったんだよ。沢田の相手をさせられなくて……それなのになんで俺……落ち込んでるんだ?

 変なの?変だよな?絶対変だよ!

 沢田が下宿するようになって三日と明けずやってたから、たまった感じは一日もなかったけど、 今の俺はなんかその気になってる……これってただの生理現象だよな?だよな?だよな?

 あ、俺……どっかで抜いてこなきゃダメかもしんね……ああぁ〜っ沢田の絶倫が移っちゃったのかな? 淡白な方だと思っていたけど、これって健全な男子高校生の生理現象だ……と思う。 決して沢田に開拓されて男が欲しくて身が疼くってわけじゃない……はず……もし、そうだったら俺はどうしたらいいんだぁ〜〜。帰って来てくれ〜〜俺の健全な高校生活〜〜。

 俺がひとりで狼狽えていたら沢田の奴はやけに覚めた目で俺をみやがる。

 そのまますたすたと歩き出してしまった。おい!待てよ。こんなところで迷子になったら俺はヒグマの餌か、丹頂鶴のおもちゃになっちゃうよ。俺をひとりにするなったら!ばっか野郎〜〜〜。お〜〜い。と、取りあえずまってくれ〜〜〜。    

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