追憶の薫り

Muse over past memories  4(沢田視点) 


 だが俺は古城と別れたとたん、もう後悔していた。

 あいつの縋るような瞳と可愛いモノに騙されて逃がしてしまったが, やっぱりあんな貴重なチャンスを逃すべきではなかった。

 美味しくなるまで育てている間に他の奴に喰われる可能性の方が大きいじゃないか。

 この際、ちょっと青臭いのは目を瞑って、やっぱり戴いてしまおう……。

 その決心を確認するように携帯を取り出してあいつの可愛いモノと一緒に俺を見つめる縋るような瞳をついつい何度も見てしまう。 その度に悔しくてため息が出た。もう、二度と仏心なんて出さないぞ。

 とはいっても強姦するチャンスなんか全くない。俺は部活をやってるから夜は下宿に付くと8時過ぎ、とても古城に何かできる余裕なんかない。

 B組の奴を締め上げて古城が俺の下宿から差程遠くない場所に住んでいる事を突止めた。ついでに奴のマンションの前までいってみた。

 朝、歩いて通う彼奴の後をゆっくりとつけていく。

 危機意識の薄い男だからな、親切な俺がボディガードをしてやろうっていうわけだ。

 まぁ、そのボディガードが一番危険なわけだがそんなのはこの際、棚の上に決まってる。

 あぁ〜古城の奴、なんだかふらふらしながら歩いてやがる。ちゃんと睡眠は取れてるのか? そんなこと俺にとってどうでも良いが、やっぱり元気でぴちぴちしてて、多少抵抗してくれた方が 美味しくいただけるというものだ。

 途中クラスメイトらしい男に肩なんか叩かれながら、なんとか校門にたどり着く。

 俺の古城の肩を気軽に触ったやつにじろっとガンを飛ばしてやる。

 全く油断も隙もない。

 やっぱりこいつには身体で解らせてやるしか無さそうだ。

 目立つのは俺の本意じゃないが、この際仕方ないだろう。

 思い立ったが吉日だ。俺は鞄を教室に置くとその足でそのままB組の前のドアから入って教壇に立つと ぐるりと見回す。

 「古城いるか?」

 古城の座ってる場所は勿論確認済みだが、威嚇するように一応辺りを見回しておく。

 みんな俺と目を合わさないように目を逸らしている。こんな進学校に俺に対抗しようなんて 気概のある奴はいないようだ。

 勿論、古城だって例外じゃない、だがちらっと俺を盗み見た瞬間を俺は見逃さなかった。

 「来い!」

 顎をしゃくって外を示す。言う事を聞かなかったら担いででも外に出そうと思ったがそこまで ばかでもなかったようだ。

 俺は先生に整理を任されていた用具室に連れ込む事にした。

 こんな何年も整理されずにものの押し込まれた場所なら人なんて来ないし、こんな場所に用具室があるのを知らない生徒も多いだろう、しかも物がいっぱいだから多少の声なら響かないという思惑があった。

 それにしても、どうして古城ってどうしようもなく危機管理の薄い奴なんだ。こんな人気のないところに連れてこられたら間違いなく、強姦されるかボコられるかの二つに一つしかないだろう?

 なんでのこのこ付いてくるんだろう?

 今まで無事だったのが奇跡みたいなもんだ。

 取りあえず、肩を掴んで用具室に入れるとやっと「何すんだよ!」と怒り出した。

 ナニするに決まってるんだろうが?

 いちいち解りきった事聞くんじゃねーよ。

 「うるせーだまってろ」

 臨戦体制に入ってる俺はもう、止まれない。とにかく黙っていろという意味で軽く張り手をした。

 なんと古城ときたら、思いきり良く吹っ飛んだ。口まで切ったらしい。

 少しぐらい踏ん張るとかできねーのか?お前は?

 意識を失いそうな情けない顔をして首を振っている。

 口の端から滲んだ血が妙に色っぽい……あ、だめだ……我慢でできねー。

 俺は古城の唇をゆっくりと舐めあげた。プリっとした弾力のあるしかも柔らかな唇。 不味い……下半身が限界を訴えている。 そのまま、夢中で唇を貪った。あぁ、こんな情けないぼんぼん相手にこのまま暴走してしまうなんて 俺のプライドが許さない……といいたいが、どうやら今は煩悩の方がプライドを上回っているらしい。 古城は情けない顔のまま俺を見上げている。

 「なめときゃ直る」

 俺は仕方なく宥めるような事を口走ってしまった。

 「僕に何か用ですか?」

 俺は一瞬絶句した。本当に解らないのか?この坊やはこの状況で? はっきりいってやるしかないと俺は覚悟を決めた。

 「一発やらせろ」

 「は?」

 は?はないだろう?は?は……もう少しまともなリアクションはないのか?

 「抵抗すると怪我するぜ」

 俺は本気で怖がらせてやろうとする残酷な気持ちが押し寄せてくるのを どうすることもできなかった。  

 BACK  WORK TOP NEXT