魔境の裏側 8 


 

 「神威……」

 少しだけ涼夏が驚いた顔をした後、息ができなくなるほどきつく私を抱きしめた。

 そのまま唇を貪りつくされ私はすでに息が上がっている。

 リョウガだ……やはり彼は私の愛するリョウガそのものなんだ。

 だが、涼夏は我に返ると慌てて首を激しく振って私を突き放すようにした。

 「やめてくれ……僕がそんな夢を見たからって、君はからかってるのか?」

 こんなことを涼夏がいうなんて驚いた。だってこんな雰囲気になって彼が拒否してくるなんて考えもしなかったから。やっぱりいくら似ていてもこいつは涼夏でリョウガじゃないらしい。

 こっちでは以外とモラリストなのかもしれない。でも今の私にとっては浅ましいと思うが彼にすがりつかずにいられなかった。

 「僕に興味がないの?」

 上目遣いに見上げる私の顔を見て涼夏は真っ赤になっている。

 「君はおとこじゃないか……僕だって男だ」

 今さら何をいってるのか?私がその気になるように煽った事を最初に言ったのは彼の方だ。こんな中途半端な状態にされるなら強引な彼の方がずっと魅力的だなんて思ってしまう私はなんて愚かなんだろう?

 彼の理性に感謝しなくちゃいけないのに。

 「すいません……帰ります」

 気持ちを振払うように私がすくっと立ち上がると涼夏がいきなり体重をかけてのしかかってきた。

 「神威……頼む……行くな……」

 そういうと再び思いきり貪るように唇を重ねてきた。

 軽く唇を開くと性急に彼の舌が侵入してきて痛いくらいだ。そっと諌めるように甘噛みしてやると それに返って刺激されたかのように激しく唇を貪ってくる。

 首の後ろを掴まれて乱暴にそして嵐の様にキスをする。

 あぁ、リョウガのキスだ……思わず力が抜けてされるままになる。

 彼がそっと唇を離してじっと見つめてきた。

 「リョウガ……」

 あなたを愛してる。こんなにも切ない程に……

 「リョウガ……」

 あなたに触れられるだけで、私の身体も心も綻んでしまう。

 「いいのか?」

 何かいいのかと聞いているんだろう?

 「痛くはしない……」

 彼の声も上擦ってる。まるで私に夢中になっているように。

 そのまま、彼の首に掴まり、彼が私の衣類をくつろげやすいように少しだけ腰を浮かす。

 彼の指が器用に私の衣類を剥ぎとってゆく。

 全身を愛おしむように撫で回され、カムイは声を上げる。

 「リョウガ……リョウガ……好きなんだ……あなたが」

 今まで一度だって言えなかった言葉が素直に零れ落ちる。

 まるでカムイの言葉を確認するようにリョウガの名を呼ぶ度に涼夏はカムイをきつく抱きしめた。

 「ずっとこうすることを夢に見てきた。これが夢なら覚めないで欲しい……」

 涼夏の言葉がさらにカムイを熱くする。

 「はっは……っはっ」

 細かい息遣いが二人の余裕の無さを証明しているようで、カムイはさらに熱くなった。

 この世界の涼夏は確かに私自身を欲してくれているのだと。

 今だけ、この熱い夢をこのまま見せて欲しい……いつかは儚く消える夢ならば……

  私達は唇を重ねたまま、お互いの身体を弄りあった。

 別人だと思おうとしても、彼の熱い瞳はやはりリョウガで……彼は私の身体を初めて開いた時のような 優しさと慎重さでゆっくりと私の身体を綻ばせてゆく。

 彼のなすがままに身を任せ、私は忘れかけていた官能の海に身を投げ出す。

 時には荒く時には優しい波に身を漂わせながら、涙を流す程の幸福感を味わっていた。

 涼夏が少年のように夢中になって私の身体にのめり込んでいく様が私には嬉しかった。

 もう、後悔する恋などしたくはない。

 彼が欲しい……彼を私だけのものにしたい。

 もしも神威がまだ涼夏と出会っていないのならば、二人を出会わせなくはない。

 恋とはなんて自分勝手なものだろう?死のうとした自分を神威は自らの命を顧みずに 助けてくれたと言うのに。

 涼夏の指が後ろに回る。思わず身体を固くした私の両頬をそっと掌で包むように持ち上げ私の瞳の縁にに滲んでいた涙を口に含む。

 「これ以上進むのは嫌か?」

 私は慌てて首を振る。

 「じゃあ、力を抜いて……君に怖い思いをさせたくないんだ」

 そういって涼夏は何度も私の背中を 宥めるように撫でた。

 少しずつ力が抜けるとまるでその指は踊るように私の性感帯を捜して撫で回す。

 「あぁ……あぁ……」

 愛撫に慣れた私の身体はあっという間に綻んで彼のなすがままに甘い声を上げてしまう。

 「神威……」 彼の指が私の後ろを探し当てそっとノックするように反応を見ながらそっと指を入れた。

 「あ、……だめ……だめ……」

 彼は右手で後ろの抜き差しをしながら二人の雄を同時に左手で握って扱きだした。

 「リョウガ……あ、リョウガ……」

 「神威……神威……」

 私達は甘い声をあげながら二人同時に果てた。


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