脱力したままの元木に森川は身体を熱い濡れタオルで拭いながらため息のように
息だけでささやいた。
「週末はあけておくよ。もっと気持ちいいこと教えてあげるから」
半分自暴自棄になってる元木は森川にいうでもなく呟いた。
「もう、女の子と出来なくなっちゃったのかな」
「なんだ、それ。そんなに気持ちよかった?」
「気持ちよかったけど、もう、女の子相手にたたないかもしれない」
「そう?僕は今でも女の子も大丈夫だけど?」
森川の発言に元木はどきっとした。
男同士は刹那的と聞いている。
もしかしたら、週末会おうというのもこの場だけの話かもしれない。
第一、自分だって森川の事を殆ど知らずにこうなってしまった。
なんて節操なしなんだろう。
「もう、帰るから・・」
元木は慌てて身繕いをしたが森川はもう引き止めはしなかった。
いったいあれはなんだったんだろう。 どうして僕は何も抵抗しなかったんだろう。
あまりにも色んな事がありすぎて頭の整理がつかない。
さっきは快感の方が強くて感じてなかったあちこちの痛みが元木を苛んだ。
「こんなに簡単に碌に知らない奴と関係しちゃうなんて、僕って信じられない。
どうしてあんなに抵抗感がなかったんだろう。始めてだったのに」
たしかに綺麗な森川にドキドキした。 乱暴にされなかったからこそ抵抗感がなかった。
「女の子じゃないんだし、まぁいいか。妊娠する訳じゃ無いし。」
深く考えると何かもっと恐ろしいような気がして元木は疲れた身体を
自分の部屋に押し込めると今までなかったような深い眠りについた。
その週末森川から何の連絡もなかった。考えてみると元木は名刺をもらったが
森川には渡していない。自分から連絡するのは気がひけた。
(このまま、何もなかったようになってもいいのかもしれない)
元木は独りごちる。
それにしてもやっぱりというか悲しい事に女の子に眼がいかなくなってしまった。
ふと気が付くと森川と似た髪型や体系の男ばかりに眼がいくのだ。
(これって病気かも....。病気に違いない)
本社勤務とマンションそしてあの名刺のことしか森川の事をしらない。
いけないと思いつつ、会社のパソコンのデータをこっそり開けてみた。
森川は出身も大学も北海道だった。 採用も現地採用だ。どうして本社に来たんだろう。
現地採用の場合出世に不利になることも多いが、現地を離れたくない人は
現地採用されたがるという。
北海道で何かあったのかな。
どうして本社に来たんだろう。
どうして僕に興味を持った?写真をみただけで。
森川については知らない事が多すぎる。
とにかくほんの1週間前まで何も知らなかった森川の事で頭がいっぱいになってしまっている。
元木はこんな自分が苦しくて仕方なかった。
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